「アホなのかお前ら。全部持って帰れ!」

誰が受け取るか、こんなもん。

「えっ!駄目なんですか?」

何で驚愕してるんだよ。

駄目に決まってるだろ。

これまで、花束やポテトチップスやジュースや、お面やクマの目玉茶やマジック実演など。

多種多様、様々なお見舞いの品を受け取ってきたが。

まさかエロ本をもらう羽目になるとは。

要らねーよ馬鹿。

「そんな…。頑張って選んだのに…駄目だったんですね」

「ほら、だから言ったじゃない、ルーチェス君」

がっくり落ち込むルーチェスに、ルーチェス嫁がそう言った。

何だ。一応ルーチェス嫁は、止めようとしてくれてたのか。

良かった。ルーチェスはもう救いようがないが、ルーチェス嫁の方はまだ常識を兼ね備えて…。

「ハードルが高過ぎたんだよ。だからNLのえっちな本にしようって言ったのに」

前言撤回。

やっぱり似た者夫婦だった。

違う。BL本であることに文句を言っているのではない。

エロ本であることに文句を言っているのだ。

「だってルルシーさん、リアルBLですから。ルレイア師匠と四六時中一緒なんですよ?絶対ムラムラしてると思って…」

余計な気遣いどうも。

「だから、BL本で統一するんじゃなくて、色々よりどりみどりで選んでみようって提案したんだよ?でもルーチェス君が『ルルシーさんはガチの方ですから、BLの方が好きだと思います』って言うから」

ふーん、そうなんだ。

ルーチェスお前、俺の脚が治ったら覚えとけよ。

「とにかく持って帰れ。BL本はやめろ」

「むむ、仕方ない…。セカイさん、次はあなたのアドバイスに従って…NLのえっちな本を持ってきましょう」

「もう二度と持ってくるな」

誰もがお前達みたいに、煩悩にまみれていると思うなよ。