The previous night of the world revolution7~P.D.~

「では、これで最後だ」

ルリシヤは再び、スカーフをお札の上に被せた。

そして、また指パッチン。

…今度は何だろう?

全部小銭に替わってる、とか?

九千円分の小銭って、それもう財布パンパンになるだろうな。

しかし。

「…はれ?」

ルーチェス嫁は、スカーフを取り除いたテーブルの上を見て、きょとんとしていた。

俺もびっくりした。

今度は何のお札が…と思っていたのに。

あろうことか、九枚の紙幣が全部消えていた。

テーブルの上には何もない。

「以上。ルリシヤマジックだ」

ルリシヤはドヤ顔で言った。

…マジックが終了してしまった。

「…。…えぇぇぇ!?私のお金はっ!?」

と、声を上げるルーチェス嫁。

そりゃそうなる。自分の貸したお金が返ってこない。大ピンチだ。

「ちょっとちょっとちょっと!私のお金は何処?返してよ!」

九千円は大金だ。ルーチェス嫁の主張はごもっとも。

しかし、ルリシヤは。

「お金?何のことだ。俺は持ってないぞ」

しらばってくれていた。

…え?マジ?

本気で返さないつもりなら、俺も黙っていることは出来ないぞ。

「嘘ぉぉ!?ルーチェス君、どうしよう。新手の詐欺だよこれ!マジシャン詐欺!」

それは本当に新しいな。

マジックの為に使うから貸してくれ、と言われて貸したら、マジックが終わっても返ってこない詐欺。

つまんねぇ詐欺だよ。

でも、被害者としては黙っていられないだろう。

「えぇぇぇ!あのお金で、ルーチェス君と執事喫茶に行こうと思ってたのにぃぃ」

思わず噴き出すかと思った。

お金を騙し取られて気の毒と思ってたけど、そんなことの為に使うお金なら、別に返ってこなくて良いんじゃないか。

「私のお札〜っ!返してよぅ」

「ルリシヤ…。返してやれよ、お前…」

お金の用途はあまり…褒められた使い道ではないかもしれないが。

しかし、お金はお金だ。

食糧品を買うのに使おうが、水道代に消えようが…。…執事喫茶で浪費しようが。

何にお金を使おうと、それは本人の勝手な訳で。

お前がマジックに使った九千円は、ルーチェス嫁にとって大事なものなんだよ。

すると。

「人聞きが悪いな。俺は騙し取ってなんかいないぞ」

「嘘ぉ。だって返してくれてないよ?」

「それはおかしいな。本当になくなったのか?もう一度、財布をよく確かめてみたらどうだ?」

あくまでしらばっくれるルリシヤである。

こいつ…珍しく意地の悪いことを言うじゃないか。

俺達相手ならともかく、ルーチェス嫁はカタギの人間なんだから、俺達と同じノリで接して良い訳じゃないんだぞ。

これは本格的に怒るべきか、と思っていると。

ルレイアが、横から口を挟んだ。

「まぁまぁ。ルリシヤの言う通り、一度財布を確かめてみたらどうです?」

…ルレイア?

「えぇ…?確かめるも何も、さっきから触ってないんだから、何も入ってる訳…。…え?」

渋々といった様子で、ルーチェス嫁は財布の中を探った。

そして、その中身を見て固まってしまった。

…?

…もしかして。