The previous night of the world revolution7~P.D.~

ルリシヤマジックショーは続く。

「では最後に…つかぬことを聞くが、御婦人」

ルリシヤは、ルーチェス嫁を呼んだ。

「何?」

「今、財布の中に紙幣は何枚ある?」

…??

何だ、その質問は。

「紙幣?お札のこと?」

「そうだ」

「えぇっと…。あぁ、今丁度、千円札が九枚入ってるよ」

ルーチェス嫁は財布を取り出して、その中身を確かめながら言った。

「小銭なかったから、一万円で缶ジュース一本だけ買ったら、お釣りの五千円札切らしてたみたいで、全部千円札で返されちゃったんだよ」

たまにあるよな、そういうこと。

千円札でも、九枚も入ってたら財布の中で嵩張って嵩張って。

「ふむ、ではその千円札、少々貸してもらえるだろうか」

「え?全部?」

「全部」

どうやら、最後のマジックはお札を使うらしい。
 
自分の用意したお札ではなく、人のお札を使うのは…タネも仕掛けもないことを証明する為だろう。

「ほほう、良いよ。貸してあげる」

ルーチェス嫁も気を良くして、快く九千円を貸してくれた。

「ふむ、ではこの千円札を…」

ルーチェス嫁から手渡された九枚の千円札を、ルリシヤは扇子のようにして、ひらひらと振った。

そのまま、テーブルの上に千円札を並べて伏せ、先程の赤いスカーフを取り出す。

千円札を隠すようにスカーフを被せ、ルリシヤはぱちんっ、と器用に指を鳴らした。

その姿は、まさに本職のマジシャン。

ルリシヤがさっ、とスカーフを取ると。

先程伏せていた、九枚の紙幣が並んでいた。

「…?何も変わってないよ?」

何が起きるかとわくわくしていたルーチェス嫁は、変化のないテーブルの上を見て首を傾げた。
 
俺も首を傾げていた。

てっきり、お札が消えているのだと思っていたのだが…。

珍しく、マジック失敗か?