The previous night of the world revolution7~P.D.~

一体何故、このようなものを…しかも手作りしてまで持ってきてくれたのか。

聞くに聞けないけど、この端っこについてるこれは、やっぱり骨なのか?

「あ、あの…こ、これ…」

「気に入ってもらえましたか?」

「…うん」

そう答える以外に、俺に何の選択肢があったんだ?

「良かった。それは私の故郷で古くから伝わる、健康祈願のお面なんですよ」

まさかの箱庭帝国原産。

そういうことか。その説明で理解した。

ルヴィア嫁の出身は、箱庭帝国にある秘境の里。

俺もそれほど詳しくはないが、どうやら呪いとか占いを生業としている一族らしい。

そこで伝統的に作られている、厄除けのお面みたいなものなのか。

健康祈願って…。この恐ろしい仮面が健康…?

俺はむしろ、恐ろしさのあまり腰を抜かすところだったんだが?

「あぁ、なんか聞いたことあります。わざとお面を怖い顔にして、病原菌が怖がって逃げていくように、って意味があるんですよね」

と、ルレイア。

お前、知ってたのか。

「はい。本来は怪我ではなく、病気のときに使われるものなんですが…」

そうなのか?

「近年では広義に解釈して、病気のみならず、怪我の場合でもご利益があるとされてるんです」

…そうなんだ。

このお面に、そんなパワーが…?

「…」

改めて、ルヴィア嫁お手製のお面を見下ろす。

…やっぱり、そんな効果があるようには見えないんだが?

むしろ怖くて、余計具合が悪くなりそう。

「折角ですから、私が手ずから作ってみました」

「…」

「喜んでもらえたようで、良かったです」

「…うん」

どう反応すれば良いのか分からない。

代わりに、俺はそんなルヴィア嫁の夫であるルヴィアに視線を向けた。

さっきルヴィアが挙動不審だったのは、このお面のせいか。

「…俺も、どうかなとは思ったんですけど…」

俺に視線を向けられて、ルヴィアは言い訳をするようにそう言った。

「でも…楽しそうにお面を作ってるフューニャが可愛くて…つい…」

「…お前…」

止めろよ。何見惚れてんだ。

こんなときでも惚気を披露するとは。

…もらってしまったのは、仕方がない。

「…そこに飾っといてくれるか、ルレイア…」

「はい、お任せください」

お陰で、こんな怪我すぐに治りそうだよ。どうもありがとうございますね。

ほら、こういうのって、気持ちが大事だから。中身の問題じゃないから。

…そう思うことにしよう。