The previous night of the world revolution7~P.D.~

しかし、そんな俺とルヴィアの心境をよそに。

「あぁ、そうだ。忘れるところでした」

ルヴィア嫁が、不意にそう言ってティーカップを置いた。

な、何…?

「僭越ながら、お見舞いの品を持ってきたんです」

え?

ごそごそ、とルヴィア嫁は足元に置いていた紙袋を漁っていた。

「お見舞いの品…?」

「はい。大したものではありませんが…」

ルヴィア嫁は、そっと茶色の紙袋を差し出した。

あ、どうも…。

「悪いな…。気を遣わせて…」

「いえ。あなたはルヴィアさんの上司だと聞いています。いつもルヴィアさんがお世話になっていますので」

ぺこり、と頭を下げるルヴィア嫁。

おいおい。出来たお嫁さんだな。

つくづく、ルヴィアは幸せ者だよ。

「ありがとう。有り難く頂戴するよ」

「はい、そうしてください」

部下にまで見舞いの品を持ってきてもらうとは。恐悦至極。

来てくれるだけで充分なのに、わざわざ気を遣わなくても…。

「ありがとうな、ルヴィアも…。…ルヴィア?」

「えっ?あ、はい…」

「…?」

ルヴィアにもお礼を言おうと思ったら。

何故かルヴィアは、所在無さげにぐるぐると視線を彷徨わせていた。

…どうかしたのか?

クマの目玉茶のインパクトが強過ぎて、気持ち悪くなってしまったのだろうか。

「ルルシー、何もらったんですか?」

と、ルレイアが尋ねてきた。

あぁ、そういやまだ中身見てないな。

「…開けてみても良いか?」

「えぇ、勿論です」

ルヴィア嫁が頷いたので、俺は紙袋の中に手を伸ばした。

すると。

「あっ…!ちょ、まっ…!」

「…?」

目を見開いたルヴィアが、咄嗟に声を上げたが。

時既に遅しだった。

紙袋の中から出てきたモノを見て、俺は息が止まるかと思った。

「…!?」 

な…。

…何だ、これは?

思わず手で払い除けそうになったのを、必死に堪えていた。

一応人からもらったものだから、投げ捨てるような真似をしてはいけない…という理性が、かろうじて働いていた。

しかし、これがもしルヴィア嫁からもらったものでなければ、多分…あまりの不気味さに、窓の外に放り投げてると思う。

ルヴィア嫁が俺に持ってきてくれたのは、お面だった。

…凄まじい形相で、こちらを睨むお面。

どうやら手作りらしく、草?葉っぱ?みたいなものがあちこちにくっついていて。

何だか、何処かの部族の仮面みたいだった。

非常におどろおどろしい。

しかもこれ…。お面の縁についてる、この白っぽいもの…。

もしかしてこれは…骨…?

…。

もしかして、これはネタなのか?

その…ルヴィア嫁から俺に、お茶目な嫌がらせをするつもりで…?

…と、俺は一瞬疑った。

しかし。

「どうですか?私の手作りなんです」

えへん、とばかりに得意げなルヴィア嫁。

の、隣で「あぁ…」みたいな顔をしているルヴィア。

…。

…どうやら、ふざけているつもりはなさそうだ。

それどころか、至って真面目なようだ。

じゃあ…。これはネタとか嫌がらせではなく、本気なんだ…。