10分後。
「淹れましたよー」
ルレイアが、人数分のティーカップをお盆に乗せて戻ってきた。
ちなみに、あのティーカップはルレイアの私物である。
従って、ティーカップの色は黒だった。
黒いティーカップって、見たことあるか?
飲み物が不味そうに見えると思うんだけど。ルレイアは全く気にしていないらしい。
「さぁさぁどうぞ。是非飲んでみてください」
「あ、ありがとうございます」
「アリューシャお気に入りのポテトチップスもどうぞ」
「…ありがとうございます」
ちょっと視線を逸らすルヴィア。
仕方ない。何せきなこもち味だもんな。
どんな味がするか分かったもんじゃない。
アリューシャのことだから、「期間限定」の4文字に惹かれたんだろうが。
期間限定だからって、美味しいかどうかは分からないよな?
「はい、ルルシーもどうぞ」
「どうも」
ルレイアが差し出したティーカップを受け取る。
うん、やっぱり良い匂いだ。
「くんくん…。ルヴィアさん、これとても良い香りですね」
「え?…うわ、本当だ」
ルヴィア嫁とルヴィアが、ティーカップから立ち昇る芳醇な香りを嗅ぎながらそう言った。
「フューニャの髪みたいに良い匂いがする。まぁ、フューニャの方が遥かに良い香りだけどな」
惚気も交えていく。
そういうことはな、言わなくて良いんだよ人前で。
心の中で呟いておけよ。このリア充め。
「香りだけじゃなくて、味も一級品ですよ」
ルレイアがティーカップ片手に言った。
俺も、ティーカップのお茶を一口飲んだ。
うん、やっぱり美味い。
俺は昨日一回飲んだけど、それでもびっくりするくらい美味しい。
「うん、美味しいです」
「本当だ。凄い美味い」
クランチェスカ夫妻にも好評のようだ。
良かった、喜んでもらえたようで…。
「まるでフューニャが淹れてくれた紅茶のように美味しい…。まぁ、フューニャの紅茶の方が遥かに美味しいがな」
だから、惚気を交えるな。
「…そんなこと言って褒めても、何も出ませんからね」
そう言って、ぷいっ、とそっぽを向くルヴィア嫁。
しかし、その口元は緩んでいた。
…仲が良さそうで何より。
思わず「爆発しろ!」と叫びたくなってくるが、ここは病院なので必死に我慢する。
代わりに、ずずず、とお茶を啜った。
すると、ルヴィアがルレイアに尋ねた。
「でも、これ本当に美味しいですね。華弦お義姉さんが差し入れてくれたんですよね?」
「えぇ、そうですよ」
「へぇ…。さすが華弦お義姉さん。こんな美味しい紅茶を売ってるお店を知ってるとは…」
だよな。俺もそう思う。
でもよく考えてみたらあの人、シェルドニア王国にいたときは、仮にも王族であるアシミムの屋敷にずっといたから。
良いものとか美味しいものは、よく知っているのかもしれない。
…しかし、俺は失念していた。
華弦が知っている「美味しいもの」は、全てシェルドニア王国の食べ物であるということを。
「ん?これは紅茶ではないですよ」
と、ルレイアが言った。
…え?
「淹れましたよー」
ルレイアが、人数分のティーカップをお盆に乗せて戻ってきた。
ちなみに、あのティーカップはルレイアの私物である。
従って、ティーカップの色は黒だった。
黒いティーカップって、見たことあるか?
飲み物が不味そうに見えると思うんだけど。ルレイアは全く気にしていないらしい。
「さぁさぁどうぞ。是非飲んでみてください」
「あ、ありがとうございます」
「アリューシャお気に入りのポテトチップスもどうぞ」
「…ありがとうございます」
ちょっと視線を逸らすルヴィア。
仕方ない。何せきなこもち味だもんな。
どんな味がするか分かったもんじゃない。
アリューシャのことだから、「期間限定」の4文字に惹かれたんだろうが。
期間限定だからって、美味しいかどうかは分からないよな?
「はい、ルルシーもどうぞ」
「どうも」
ルレイアが差し出したティーカップを受け取る。
うん、やっぱり良い匂いだ。
「くんくん…。ルヴィアさん、これとても良い香りですね」
「え?…うわ、本当だ」
ルヴィア嫁とルヴィアが、ティーカップから立ち昇る芳醇な香りを嗅ぎながらそう言った。
「フューニャの髪みたいに良い匂いがする。まぁ、フューニャの方が遥かに良い香りだけどな」
惚気も交えていく。
そういうことはな、言わなくて良いんだよ人前で。
心の中で呟いておけよ。このリア充め。
「香りだけじゃなくて、味も一級品ですよ」
ルレイアがティーカップ片手に言った。
俺も、ティーカップのお茶を一口飲んだ。
うん、やっぱり美味い。
俺は昨日一回飲んだけど、それでもびっくりするくらい美味しい。
「うん、美味しいです」
「本当だ。凄い美味い」
クランチェスカ夫妻にも好評のようだ。
良かった、喜んでもらえたようで…。
「まるでフューニャが淹れてくれた紅茶のように美味しい…。まぁ、フューニャの紅茶の方が遥かに美味しいがな」
だから、惚気を交えるな。
「…そんなこと言って褒めても、何も出ませんからね」
そう言って、ぷいっ、とそっぽを向くルヴィア嫁。
しかし、その口元は緩んでいた。
…仲が良さそうで何より。
思わず「爆発しろ!」と叫びたくなってくるが、ここは病院なので必死に我慢する。
代わりに、ずずず、とお茶を啜った。
すると、ルヴィアがルレイアに尋ねた。
「でも、これ本当に美味しいですね。華弦お義姉さんが差し入れてくれたんですよね?」
「えぇ、そうですよ」
「へぇ…。さすが華弦お義姉さん。こんな美味しい紅茶を売ってるお店を知ってるとは…」
だよな。俺もそう思う。
でもよく考えてみたらあの人、シェルドニア王国にいたときは、仮にも王族であるアシミムの屋敷にずっといたから。
良いものとか美味しいものは、よく知っているのかもしれない。
…しかし、俺は失念していた。
華弦が知っている「美味しいもの」は、全てシェルドニア王国の食べ物であるということを。
「ん?これは紅茶ではないですよ」
と、ルレイアが言った。
…え?


