The previous night of the world revolution7~P.D.~

さっきから、黒い花束とか、よりどりみどりのポテトチップスとか。

常識から外れたお見舞いの品の話ばっかりしてたから。

いや、まぁ黒い花束はアイズが止めてくれたから、普通の花束なんだけど。

でも、やっぱり常識のあるお見舞いの品が一番嬉しいな。

何より、この変人揃いのメンバーの中で、常識を感じられる人物が一人でも存在する。

この事実だけで、怪我が治りそうな気がする。

「入院中にジュースの飲み過ぎも良くないかなと思ったんだけど、病気になった訳じゃないし、たまには良いかなって」

「そうか…」

「一応病院の先生に報告して…。二日に一本くらいにしてね」

「あぁ。ありがとう」

アリューシャじゃないからな、俺。そんなぐびぐびジュースばっかり飲まないよ。

味気ない病院食の合間に飲むには、丁度良いかもな。

さすがはアイズ。常識というものを弁えている。

「良かったらついでに、このルレイアを連れて帰ってくれないかな…」

「ちょっとルルシー?何呟いてるんですか?」

いや、だって。

『青薔薇連合会』の変人幹部筆頭が、ここにいるもんだから。

いい加減ルレイアの過保護な「お世話」にも、うんざりしていたところだし。

しかし。

「ルレイア、ルルシーのこと宜しく頼むね」

あろうことか、アイズはルレイアに向かってそう言った。

おい。それは気遣いのつもりか。

ルレイアにそんなこと言おうものなら、こいつは…。

「えぇ!お任せください。アイズにもこうして頼まれた以上、全身全霊をもって、ルルシーのお世話をさせて頂きます!」

案の定、目をキラッキラ輝かせるルレイアであった。

…あぁ…。

追い返すどころか、もっと悪化する羽目に…。

「そんな訳ですからルルシー、さぁさぁあーん!ポテチも一枚ずつあーんしてあげますからね!」

「アイズお前、余計なことを言うな。見ろ、ルレイアがますます調子に乗って…」

「元気そうで良かったよ、ルルシー。それじゃあ二人を邪魔しちゃ悪いし、そろそろ帰るね」

おい、逃げるな。

「じゃあなールル公!達者でな!」

「ゆっくり休んで、早く良くなってね」

アリューシャとシュノも、にこやかに手を振って病室から出ていった。

…あいつら、揃いも揃って…。

「はいルルシー、あーん。あーんしてくださいほら」

「…」

お見舞いに来たのか、俺の胃を痛くさせる為に来たのか、分かったもんじゃない。