The previous night of the world revolution7~P.D.~

更に。

「ほれルル公、アリューシャからもお見舞いをあげるぜ!」

と、アリューシャは大きな紙袋を差し出した。

…アリューシャからのお見舞いか…。

紙袋を覗いてみなくても、もう予測はついているが…。

「…ちなみに、この紙袋…中身は…」

「ポテチ!」

そうだろうと思いました。

むしろこれでアリューシャが、「果物持ってきた」とか言ったら。

俺はアリューシャの影武者を疑うところだった。

アリューシャはそういう奴だよ。

自分が大好きなものを、周りの皆も大好きに違いないと思い込んでる。

純粋で無邪気…と言えば聞こえは良いが。

要するに、ただガキなだけだ。

「しかも、うすしおだけじゃないからな」

「あ…?」

ポテトチップスの味の話?

「うすしお、のりしお、コンソメ、醤油の定番商品に加えて、コンポタ、照り焼き、バター、グラタン、せんべい味のポテチを用意してきたんだ」

妙に力が入っている。

コンポタ、グラタン辺りは良いとして、せんべい味って何だよ。

それはもうせんべいだろ。

「是非とも味わって食べてくれ給え!」

えっへん、と胸を張って言うアリューシャ。

ポテチでここまで得意気になれるのは、お前くらいのもんだろうよ。

「アイズ…。止めてくれよ」

俺は、思わずアイズに苦言を呈していた。

シュノの黒花束は止めたのに、何故アリューシャは止めなかったのか。

我が子が可愛かったか?

「病気をした訳じゃないから、食べるものはそこまで気を遣わなくても良いかなと思って」

と、アイズはあっけらかんとして答えた。

そりゃそうかもしれないけどさ。

「それにアリューシャが、『病院食ってくっ………そ不味いから、せめてポテチをお届けしたい!』って言うから」

一応これでも、アリューシャなりに気遣ってくれた結果らしい。

確かに、病院食はちょっと味気ない。

たまに食べるくらいならまだしも、内臓の方はしっかりしてるのに、毎日味気ない病院食続き…ともなると。

アリューシャのように菓子好きじゃなくても、たまには市販のお菓子くらい食べたくなる…気持ちは分かる。

…分かったよ。これもアリューシャなりの好意なんだな。

じゃあ有り難く受け取っておくよ。

「ありがとな、アリューシャ」

「おう、もりもり食べて元気になれよ!」

ポテチをもりもり食べて元気になるのは、お前くらいのものだけどな。

…そして、最後に。

「私からのお見舞いの品は、これだよ」

アイズが、持参したお見舞いの品を手渡してきた。

こちらも紙袋に入っている。

「大したものじゃないよ。アリューシャがポテトチップスだから、一緒にどうかなと思って、ジュースの詰め合わせ」

とのこと。

常識のあるお見舞いの品というのは、それだけで大きな安心感を覚えるな。