「そう…駄目だったの」

彼女は酷く落胆して、溜め息混じりにそう言った。

「あぁ…。狙いは悪くなかったんだが…奴の相棒とかいう男に阻まれた」

ルルシー・エンタルーシア、とかいったか。

あの男を「相棒」などと呼び、手を組んでいる愚か者。

あんな奴を殺したからって、俺達にとっては何の得にもならない。

俺達のターゲットは、ルレイア・ティシェリーただ一人だ。

しかも、あの相棒も、レーザー銃を当てることは出来たが殺すには至らなかった。

片脚を掠めただけだ。あれでは死なない。

あいつに邪魔をされなければ、今頃ルレイア・ティシェリーをあの世に送り込んでやれたのに…。

…余計な真似をしてくれた。

お陰で、俺達の計画は振り出しに戻った。

それどころか、後退したと言っても良い。

さすがの俺達も、今回は派手に動き過ぎた。

「しばらくは…大人しくしておいた方が良いだろう」

「そうね…。しばらくお預けね」

まだ当分の間は、帝国自警団を隠れ蓑に使わせてもらうつもりなのだ。

これ以上派手に動いて、ブロテ団長に勘付かれたくはなかった。

悔しいが、ほとぼりが冷めるまでは動けない。

「もう一人の協力者」にも…そのように伝えなければなるまい。

「…大丈夫だ。焦る必要はない」

幸い、あの男は並大抵のことでは死なない。

俺達が再び牙を研ぎ、奴を地獄送りにする準備を整えるまでは生きているはずだ。

焦らず機を待ち…次こそは仕留める。

「そうだね。次こそ必ず…この腕のお礼をしてやる」

彼女は、肘より先がなくなった片腕を、そっと撫でた。