The previous night of the world revolution7~P.D.~

こうなったら、仕方ない。

「取引をしましょう、ブロテさん」

「な、何の取引…?私はもう、マフィアとは何の取引も…」

「まぁまぁそう言わず。互いにとって利益になる話をしましょう、ってことです」

お互い、求めているものは違うだろう?

互いにそこを補って、今回の件は手打ちにしようではないか。

そういうお誘いだ。

「俺達は、帝国自警団が『M.T.S社』から武器を買い付け、あなた方がレーザー銃を所有しているという情報を、一切誰にも伝えずに黙っています。帝国騎士団にも、『青薔薇連合会』でも重要機密として伏せておきます」

帝国自警団としても、背に腹は代えられなかったとはいえ、マフィアと武器を取引していた事実は隠したいだろう。

ブロテ本人の意志としては、包み隠さず自分の罪を認めたいのかもしれないが。

しかし、それは帝国自警団という組織にとっては、決してプラスにはならない。

ただでさえこの十年の間に、帝国自警団の影は薄くなっていたのに。

マフィアとの取引の事実が明らかになれば、ますます帝国自警団への不信感が大きくなるだけだ。

普段から徳を積んでないから、そういうことになるんだ。

普段から徳ばかり積んでいる俺を見習ってくれ。

ブロテとしてはこれ以上、帝国自警団に悪い評判を立てたくないだろう。

従って、『M.T.S社』と取引をした事実は隠したいはず。

それに、レーザー兵器なんてものがルティス帝国の武器市場に出回ったら、良からぬことを考える奴も出てくるだろうし。

治安を維持するという目的の為にも、帝国自警団はマフィアとの取引の事実が公になっては困る。

しかし幸いなことに、帝国自警団がレーザー銃を所持しているという事実を知っているのは、現状ここにいる俺達だけだ。

『青薔薇連合会』に帰ったら、アイズ達にも報告するつもりではいるが。

今なら、知られたくない事実を知っているのは『青薔薇連合会』だけ。

つまり俺達が口を割らなければ、誰にもバレる心配はないということだ。 

そして俺達としても、不可抗力とはいえ、勘違いで帝国自警団を強襲してしまった事実は変わらない。

帝国自警団がその気になれば、今すぐ俺やルルシーを取っ捕まえることも可能な訳で。
 
色々ぶっ壊しちゃいましたし、ぶん殴っちゃいましたからね。不可抗力ですけど。

その事実をなかったことにしてもらえるなら、非常に有り難い。

つまり、ここで互いに需要と供給が一致する訳だな。