The previous night of the world revolution7~P.D.~

「『青薔薇連合会』は、自分達の味方であっても平気で潰しにかかる…。残酷なことを平気で出来る組織だって」

「…」

まぁ、否定はしない。

それが俺達『青薔薇連合会』。ルティス帝国裏社会最大のマフィアだから。

「君達のその鋭い牙が、いつ帝国自警団に向けられるか分からない。自衛の為に、そして『青薔薇連合会』への抑止力の為に…私達は『M.T.S社』と取り引きすることにしたんだ」

その判斷は間違っていない。

現状『青薔薇連合会』に、帝国自警団を攻撃する理由はない。

が、それは「現状」の話だ。

これからどうなるかなんて、誰にも分からないだろう?

実際今だって、こうして帝国自警団に襲い掛かっている訳だし。

いつか帝国自警団と『青薔薇連合会』の全面対決、なんて事態に発展することも…有り得なくはない、か。

その可能性は限りなくゼロに近いけどな。

まぁ、世の中何が起きるか分かりませんから。

元帝国騎士団四番隊隊長が、『青薔薇連合会』の幹部をやってる時代ですからね。

何事も、備えあれば憂いなし。 

しかし、そのレーザー銃を『青薔薇連合会』に対する「備え」にするのは、いささか短絡的と言うか。

考えが甘過ぎるだろ。

それだけ、帝国自警団も焦っていたということなのかもしれない。

俺達が傘下組織を容赦なく潰す姿を見て、すぐにでも対策を立てなければならないと。
 
焦り故に、見えていなかったのだろうな。

レーザー銃の致命的な弱点を。

そして、帝国自警団としての誇りを。

「堕ちたものですね、帝国自警団も…。焦ったからって。まさかマフィアと取引して武器を購入するなど」

「…」

ブロテも自覚しているのか、悔しそうにぐっと拳を握り締めた。

「…分かってる。でも…毒を以て毒を制す…その覚悟が必要だって、皆で話し合ったんだ」

あっそ。

やっぱり、無能な仲間に囲まれて気の毒ですね。

毒を以て毒を制す…。レーザー銃を以て『青薔薇連合会』を制す…ってことか。

実際は、レーザー銃ごときで俺達を制すことは出来ませんでしたけどね。

「さて。それじゃあ他にも聞きたいことがあるんですけど」

傘下組織を容赦なく叩きのめす俺達『青薔薇連合会』を見て、自衛の策を講じなけれなならない。

意見の一致した帝国自警団は、『青薔薇連合会』を制する「毒」が必要になった。

そして選ばれた「毒」が、先程使われたレーザー銃だ。

それは分かった。そこまでの経緯は。

しかし、そうなると一つ疑問が生じる。

「何故あなた達は、『M.T.S社』がレーザー銃を所有していることを知っていたんです?」

俺達でさえ、たった今実物を目にして初めて知ったのだ。

『M.T.S社』が隠している新兵器の正体というものを。

それなのに、何故ブロテ達はレーザー銃の存在を知っていた?

「それは…」

と、少し言い淀むブロテ。

「…喋りたくありませんか?」

もしそうなら、俺が三発くらい殴ってあげますよ。

きっと喋りたくなると思いますよ。いやぁ俺って親切。

しかし。

「…いや、話すよ。この期に及んで、もう隠し事も何もない」

「…ふーん…」

なーんだ。残念。

まぁ良い。喋りたいなら、何もかも全部喋ってくれ。