The previous night of the world revolution7~P.D.~

「…残念だよ、ルレイア・ティシェリー卿」

と、ブロテは言った。

「何が?」

「私はずっと、君を誤解していた。君は『青薔薇連合会』の幹部。帝国騎士団や諸外国を脅し、無辜の人々に酷いことをしていると思っていた」

あぁ、そうでしたね。

あなたはもう少し、人の言葉を冷静に聞き、真偽の程を自分で判断するということを覚えた方が良い。

「明日地球滅亡するらしいですよ」と言われたら、素直に信じそうな勢いですから。

良く言えば素直。悪く言えばただの馬鹿。

それでよくもまぁ、帝国自警団のリーダーなんか務まるもんだ。

腰抜けと腑抜けしかいないのか。この組織は。

「でもそうじゃなかった。君は元上流貴族で…帝国騎士団四番隊隊長まで務めていた。本当は…君はこちら側の人間だった」

「…」

「そんな君を、みすみすそちら側に行かせてしまったのには…私にも責任の一端がある。申し訳ないことをしてしまったと思ってる」

別にあなたが引け目に感じる必要はないので、そんなこと思わなくて結構ですよ。

虫酸が走る。

「だからこそ、話し合えば改心してくれるかもしれないと思った。根は悪い人じゃないんだから、何かきっかけさえあれば、気を変えてくれると」

「…どうです?俺を改心させられました?」

「無理だ。どうやら君は、かなり深く裏の世界に染まってしまってるようだね」

その通り。

ルルシー以外に俺を説得出来る者がいるなら、是非とも紹介して欲しいくらいだ。

この俺を改心させようなど、傲岸不遜にも程がある。

それは不可能というものですよ。

「だったら…痛い目を見て、分かってもらうしかないね」

「…それで、分からせることが出来ると?」

「一回二回痛い思いをしたら、少しは私の話を聞く気になるんじゃないかな」

成程。それは良い方法だ。

是非とも話を聞かせてみてくれ。

と言うか、人の話をまともに聞かないのはそちらも同じでは?

「そんなルーシッドもびっくりの正義厨のあなたが、何でマフィアをかば、」

「っ、ルレイア!」

ブロテに質問しようとしたところに、ルルシーが声を上げた。

ブロテの部下の一人が、レーザー兵器の照準を真っ直ぐに俺に向けていた。

撃ってくるか。

「ごめん。…少し痛い思いをしてもらう」

そう言って、ブロテは仲間の方を向いて小さく頷いた。

レーザー光線を発射せよ、の指示だろう。

面白い。じゃあ撃ってみろ。

俺に向かって照準を合わせ、カチッ、と引き金を引く。

発射されたレーザー光線が、俺の身体を突き抜ける…、

…なんてことはなく。

俺は、レーザー光線が自分に届く前に、くるりと前転して躱していた。

「…!?」

引き金を引いたブロテのお友達(笑)は、咄嗟に2射目を撃とうと銃口を上げたが。

ブロテのお仲間は、2射目を撃つことは出来なかった。

代わりに、ルルシーの持つ拳銃の発砲音が鳴り響いた。

「あぁっ!」

ルルシーの放った弾丸は、2射目を撃とうとしていた女自警団員の手のひらを貫通した。

血飛沫が舞い、女はレーザー兵器を取り落とした。

「!ユナ!」

それを見たブロテが、悲鳴のような声を上げた。

へぇ、このお友達、ユナって名前なのか。

俺を撃って手柄を上げるつもりが、残念でしたね。