The previous night of the world revolution7~P.D.~

「当事者ではなかった、それどころか国内にいなかった人間に、今更俺達の選択を責められる謂れはない」

「…」

オルタンスにきっぱりと言われたブロテは、言い返す言葉が思いつかなかったらしく。

しばし、口を真一文字に噤んでいた。

…すると。

「…なら、今この場で、『青薔薇連合会』と手を切ることを約束して欲しい」

と、何やら頓珍漢な提案をした。

…は?

「これからは、『青薔薇連合会』の代わりに、私達帝国自警団があなた達に協力する。もう『青薔薇連合会』の手を借りる必要はない」

「…興味深い提案だ」

興味深いか?

何言ってんだこの女、としか思わんが。

「これ以上、非合法組織に大きな顔をさせる必要はない。今こそ帝国騎士団は『青薔薇連合会』と手を切り、これ以上彼らが勝手をするのを許しちゃいけないよ」

『青薔薇連合会』と手を切り…と言われても。

今現在は、何の手も借りてないんだが?

それに、『青薔薇連合会』に勝手をさせるなと言われても…。

別にあいつら、特に勝手なことはしてないんじゃないか?

そりゃ、裏社会で幅を利かせているのは事実だが。

それだって、今に始まったことではない。

「…つまり、どうしろと?」

「『青薔薇連合会』を検挙するんだよ。特に、あの男…ルレイアという幹部を」

ルレイアを検挙しろだと?

何処の誰が、死神に手錠を嵌めることが出来る?

本物の死神でも無理そうなことを、人間である俺達に頼むんじゃない。

命がいくつあっても足りん。

むしろ、出来るならお前達がやってくれ。

「そんなことをしたら、ルレイアと海に行けなくなるじゃないか」

お前は海から離れろ。

「帝国騎士団が、非合法組織の跳梁跋扈を許してはいけない。そうでしょ?」

「理想論を言えばそうだが、現実は無理だ。何度も『青薔薇連合会』の手を借りている以上、俺達が『青薔薇連合会』を後ろから撃つことは出来ない」

その通り。

あいつらは、ただのチンピラ集団じゃない。

帝国自警団のように、正義を冠する組織でもない。

マフィアだ。修羅の道を歩んできたマフィアなのだ。

彼らを後ろから撃つような真似をして、タダで済まされるはずがない。

いつか、何十、何百倍にしてその報いを受けさせられるだろう。

ましてや俺達は、幾度となく『青薔薇連合会』の手を借りている訳で。

マフィアである奴らが、借りを忘れるはずがない。

一度借りを作ったが最後、地獄の果てまで追いかけてきて、それを返すまで粘着してくるだろう。

マフィアに借りを作るというのは、そういうことだ。

一生粘着される覚悟は出来ている。

しかし、ブロテはそのような事情を知らない。

この女は、『青薔薇連合会』のことを、そこらの不良少年の集団としか見ていないようだった。

「国を守る帝国騎士団が、そんなに弱腰でどうするの?このまま一生『青薔薇連合会』に頭を下げ続けるって言うの?」

頭を下げる必要まではないと思うが。

お互い、裏切りが許されない関係ではあるだろうな。

後ろから撃つなんてとんでもない。

「何か問題があるのか?」

「…あるに決まってる。…まさか私がいない間に、これほどまでに帝国騎士団が退廃しているとは」

そりゃ悪かったな。

それを言うなら、お前がいない間の帝国自警団も、相当退廃していたと思うが。

その事実を指摘したら、余計ブロテの怒りの炎に油を注ぐ未来が見えたので、俺は黙っていた。