来るの遅くないです?
「もう一度言う。マリアーネから離れて!」
だ、そうですよ。
ブロテは片手にレイピアを持って、その切っ先を俺に向けていた。
この拳銃女に比べたら、百倍は腰が据わってるな。
手も足も唇も、全く震えていない。顔には怯えではなく、怒りが滲んでいる。
さすがは帝国自警団団長といったところか。
ってか、この拳銃女。マリアーネって名前なのか。
帝国自警団のマリアーネ…と言えば、名前を聞いたことがある。
あぁそうだ、思い出した。
「ルルシー。この女、確か帝国自警団の団長代理やってたんじゃなかったですか?」
「あ…?そうなのか?」
ルルシーは覚えていないご様子。
まぁ、死ぬほど影の薄い団長代理だったからな。
こんなビビリ女だったとは。そりゃこんな女に自警団の団長代理なんか任せてたら、自警団の影が薄くなるのも当然というものだ。
「こんな腰抜けが団長代理…。情けない女ですよ。自警団、よく潰れなかったものですね」
マフィアの幹部相手に、腰が抜けて引き金も引けないほど肝の小さい女が。
本人も自覚はあるのか、図星を指されてマリアーネは泣きそうな顔になった。
すると。
「…これ以上、マリアーネを侮辱したら許さない」
激しい怒りを滲ませて、ブロテは力強くレイピアを握り締めた。
…ほう?
「腰抜けを庇うんですか?」
「マリアーネは腰抜けなんかじゃない。ルティス帝国を留守にしていた私の代わりに、立派に自警団を守ってくれたんだ」
腰抜けなんかじゃない(笑)。だって。
面白い冗談ですね。
「マリアーネを侮辱しないで。その子を離して!」
さっきも似たような台詞を聞いたな。
「離さなかったらどうなるんです?」
「…死ぬことになるよ」
成程。
さっきより遥かに、面白いお返事ですね。
「コントのつもりですかね?ルルシー。俺達死ぬことになるらしいですよ」
「お前が挑発ばかりするからだろ?離してやれ。どうせその女は何も知らないだろ」
「ですね」
ルルシーがそう言うなら、じゃあその通りにしますよ。
俺はマリアーネを放り投げて、ブロテに返してやった。
ベッドの上では別として、俺には婦女子をいたぶる趣味はないからな。
ベッドの上では別として、な。
「マリアーネ…!しっかりして」
放り投げられたマリアーネを、ブロテは必死に抱き起こしていた。
「ぶ、ブロテちゃん…。私…ごめんなさい、役に立てなくて…」
「そんなことない。マリアーネはいつも精一杯頑張ってくれて…」
噴き出すかと思った。
何の冗談ですか?
「必死に無能を庇って、団長って大変ですね。お前みたいな役立たずはクビだ!って言ってやれば良いのに」
と、俺は思わず本音を溢してしまった。
しかし、ブロテは耳聡くそれを聞きつけ、キッ、と俺を睨んできた。
おぉ怖。
「黙って。君には関係ない!」
「はいはい、そうですね」
その通り。自警団が、ブロテが無能を庇いたいんなら、好きにすれば良い。
馬鹿だなと思うが、俺には関係のない話だからな。
「もう一度言う。マリアーネから離れて!」
だ、そうですよ。
ブロテは片手にレイピアを持って、その切っ先を俺に向けていた。
この拳銃女に比べたら、百倍は腰が据わってるな。
手も足も唇も、全く震えていない。顔には怯えではなく、怒りが滲んでいる。
さすがは帝国自警団団長といったところか。
ってか、この拳銃女。マリアーネって名前なのか。
帝国自警団のマリアーネ…と言えば、名前を聞いたことがある。
あぁそうだ、思い出した。
「ルルシー。この女、確か帝国自警団の団長代理やってたんじゃなかったですか?」
「あ…?そうなのか?」
ルルシーは覚えていないご様子。
まぁ、死ぬほど影の薄い団長代理だったからな。
こんなビビリ女だったとは。そりゃこんな女に自警団の団長代理なんか任せてたら、自警団の影が薄くなるのも当然というものだ。
「こんな腰抜けが団長代理…。情けない女ですよ。自警団、よく潰れなかったものですね」
マフィアの幹部相手に、腰が抜けて引き金も引けないほど肝の小さい女が。
本人も自覚はあるのか、図星を指されてマリアーネは泣きそうな顔になった。
すると。
「…これ以上、マリアーネを侮辱したら許さない」
激しい怒りを滲ませて、ブロテは力強くレイピアを握り締めた。
…ほう?
「腰抜けを庇うんですか?」
「マリアーネは腰抜けなんかじゃない。ルティス帝国を留守にしていた私の代わりに、立派に自警団を守ってくれたんだ」
腰抜けなんかじゃない(笑)。だって。
面白い冗談ですね。
「マリアーネを侮辱しないで。その子を離して!」
さっきも似たような台詞を聞いたな。
「離さなかったらどうなるんです?」
「…死ぬことになるよ」
成程。
さっきより遥かに、面白いお返事ですね。
「コントのつもりですかね?ルルシー。俺達死ぬことになるらしいですよ」
「お前が挑発ばかりするからだろ?離してやれ。どうせその女は何も知らないだろ」
「ですね」
ルルシーがそう言うなら、じゃあその通りにしますよ。
俺はマリアーネを放り投げて、ブロテに返してやった。
ベッドの上では別として、俺には婦女子をいたぶる趣味はないからな。
ベッドの上では別として、な。
「マリアーネ…!しっかりして」
放り投げられたマリアーネを、ブロテは必死に抱き起こしていた。
「ぶ、ブロテちゃん…。私…ごめんなさい、役に立てなくて…」
「そんなことない。マリアーネはいつも精一杯頑張ってくれて…」
噴き出すかと思った。
何の冗談ですか?
「必死に無能を庇って、団長って大変ですね。お前みたいな役立たずはクビだ!って言ってやれば良いのに」
と、俺は思わず本音を溢してしまった。
しかし、ブロテは耳聡くそれを聞きつけ、キッ、と俺を睨んできた。
おぉ怖。
「黙って。君には関係ない!」
「はいはい、そうですね」
その通り。自警団が、ブロテが無能を庇いたいんなら、好きにすれば良い。
馬鹿だなと思うが、俺には関係のない話だからな。


