「戦うつもりじゃなくて、確認する為、取引する為に行くんだ。自警団が本当に『M.T.S社』のリーダーと幹部達を匿っているなら、すぐに身柄を引き渡すように、ってね」

要するに。

帝国自警団に向かって、「お前ら『M.T.S社』のリーダー連中と新兵器を隠してるんだろ?出せ」と恐喝しに行くようなものだ。

平和的解決ですね。

連中が応じるかどうかは怪しいところだが。

身柄を引き渡せと要求されて、素直にホイホイ従うくらいなら、最初から保護しないだろうし。

ブロテも意固地な性格だから、こうと決めたらテコでも動かないだろうし。

全く、いつも素直で聞き分けの良い俺を見習って欲しいものですよ。

「大勢でぞろぞろ押しかけたら、敵対の意思があると思われる。出来るだけ少人数で行くべきだよ」

出来るだけ少人数…。

その少人数の人員の中に、果たして俺は含まれているだろうか?

アイズのことだから恐らく…。

「…ルレイア、君に頼めるかな?」

アイズはくるりとこちらを向いて、そう言った。

ほら。予想通り。

俺を選んでくれると思ってましたよ。あなたなら。

「何でまたルレイアなの?」

「ルレイアは、自警団の団長と面識があるからね。恐らくこの7人の中で一番、自警団の団長に話が通じるよ」

とのこと。

話が通じる…。…どうですかね?

面識があるのは事実だ。何せ俺は、一ヶ月近くも自警団に監禁されていたのだから。

「もし交渉が決裂して戦闘になっても、ルレイアの実力なら問題なく切り抜けられるだろうしね」

そう言ってくれてありがとうございます。

いやぁ、腕が鳴るなぁ。

「奇襲メンバーはルレイア先輩だけか?是非とも俺も同行したいところだが」

「僕も行きたいです。丁度、執事喫茶に連れてきてもらった恩返しをしたいと思っていたところですから」

ルリシヤとルーチェスも、奇襲メンバーに立候補。

いえいえ、ルーチェス。執事喫茶に連れてくるくらい、何でもありませんよ。

でも、二人が来てくれたら非常に心強い…。

…と、思っていたのだが。

無理ですよね、それは勿論。

「…そうだね。君達のうちどちらかを選びたいところだったんだけど…」

「…アイズ、言っとくが…。ルリシヤを選ぼうがルーチェスを選ぼうが、どちらも選ぼうが…。俺は絶対にルレイアについていくからな」

「…分かってるよ、ルルシー。そんな怖い顔しなくても」

…ルルシーなら、そう言うと思いました。

本当心配性なんだから。ルルシーってば。