俺達は何としても、ブロテ団長に重い腰を上げてもらわなければならなかった。

あの男の危険性を正しく認識し、あの男に対抗する手段を講じて欲しかった。

そうでもしなければ、俺達はあの男と同じ土俵に立つことも出来ないから。

いつまでもいつまでも、奴の良心などという下らないものを信じているようでは駄目だ。

だから、今回の襲撃事件を口実に使わせてもらった。

『青薔薇連合会』が、ルレイア・ティシェリーが、同情の余地もない殺人鬼だと理解してもらう為に。

そしてこれは、俺達からブロテ団長への最後通牒のつもりだった。

この報告を受けてもなお、これ以上ブロテ団長が弱腰を続けるようなら。

今度こそ、俺達はブロテ団長を見限るつもりだった。

こんな弱腰な団長のもとにいては、いつまで経っても俺達は復讐を果たせないからだ。

…しかし。

「…ブロテ団長も、そこまで無能じゃなかったって訳だ」

俺達にとっては、救いだったな。

これでも帝国自警団に入る為に、色々と下準備や根回しが必要だったのだ。

それらの準備を無為にしなくて済んだ。

「そうね。アレが手に入れば…私達にとって切り札になる」

「あぁ。とはいえ…過信は出来ないぞ」

確かにアレは、俺達にとって大きな切り札になる。

でも、絶対ではない。

あくまでアレは武器なのだ。壊されたり、上手く扱えなかったりしたら意味がない。

…ならば、どうするか。

俺達が確実に、復讐という目的を果たす為にどうしたら良いのか。

決まっている。

もっと強力な切り札を手に入れるのだ。

そしてここからは…ブロテ団長とは関わりのないことだ。

「…『あの件』は?どうなってる?」

「…順調に進んでるみたいだよ。先方も乗り気だったみたい」

「よし」

…待ってろよ、ルレイア・ティシェリー。

今はそこで何も知らず、呑気にあぐらをかいているが良い。

いつか盛大に…貴様の喉笛を掻き切ってやる。