The previous night of the world revolution7~P.D.~

私としても、非常に難しい判断を迫られている。

何が正しいのかなんて、結局のところ誰にも分からないのだから。

よくよく考えて、少しでもマシだと思う選択を選ぶしかない。

「…『青薔薇連合会』を、ルレイア・ティシェリーを信じるかどうかは別にして…。自衛の術は確保しておくべきなんじゃないか?」

と、セルニアが私に言った。

自衛…。

「万が一『青薔薇連合会』が僕達に牙を向けたとして、このままだと、抵抗も出来ずにあっさり潰されるだけだ。対抗する切り札くらいは持っていた方が良い」

「切り札…。それが、例の…?」

「…結果的には、そうなるな」

…。

「本末転倒だよ…。その切り札だって、結局はマフィアの手を借りることに…」

「毒を以て毒を制するという点では、理に適ってるけどね」

「私達は帝国自警団なんだよ。自衛の為と言っても、毒を使って良いの?」

「…それは…」

セルニアもアンブロも、シャニーもユナもマリアーネも、答えられなかった。

相手が毒を使ってきたからって、自分達も毒を使ったとして…それは正義と言えるのか。

帝国自警団の一員たる私達が、そのような手段を使って良いのか。

その問いに答えたのは、「彼」だった。

「…いかに美しい正義を掲げたって、死んだら終わりだ」

「…」

「組織のリーダーは、どんな手段を使っても組織を守る義務があると思うが」

「…そうかもしれないけど、でも私は…」

「何を躊躇うことがあるんだ?」

「彼」は、私に挑むような視線を投げかけてきた。

思わず背筋が寒くなった。

「あんたは『青薔薇連合会』に…ルレイア・ティシェリーに殺されて良いのか?」

「そんなこと一言も言ってないよ」

「良いか、あの男は尋常じゃない。まともな人間じゃないんだ。あの男を敵に回しておいて、切り札の一枚も持っていないなんて有り得ない。殺してくれと言ってるようなもんだ」

…胸に刺さる一言だ。

言い返す言葉もない。

「あんたは生きたいのか、それとも死にたいのかどっちだ?」

「生きたいよ…。生きたいに決まってる。帝国自警団の皆と共に」

「だったら、手段は一つだけだ。あの男の毒牙から身を護る為に、切り札を手にする。例えそれが毒だったとしても、自分の命を守る為の毒なら、喜んで口にするべきだ」

「…」

…どうして、君はそこまで。

そこまで…ルレイア卿を目の敵に…。

「ここまで言っても、まだ分からないか?」

「…いいや、よく分かったよ」

今に至っても、私は完全に納得している訳じゃない。

だけど…マリアーネが守り抜き、今私の手の中にある帝国自警団の皆の命を。

大切な仲間の命を守る為に…どうしても必要だと言うのなら。

言う通りにしよう。

「…私も覚悟を決める。…例の話を受けよう」