私としても、非常に難しい判断を迫られている。
何が正しいのかなんて、結局のところ誰にも分からないのだから。
よくよく考えて、少しでもマシだと思う選択を選ぶしかない。
「…『青薔薇連合会』を、ルレイア・ティシェリーを信じるかどうかは別にして…。自衛の術は確保しておくべきなんじゃないか?」
と、セルニアが私に言った。
自衛…。
「万が一『青薔薇連合会』が僕達に牙を向けたとして、このままだと、抵抗も出来ずにあっさり潰されるだけだ。対抗する切り札くらいは持っていた方が良い」
「切り札…。それが、例の…?」
「…結果的には、そうなるな」
…。
「本末転倒だよ…。その切り札だって、結局はマフィアの手を借りることに…」
「毒を以て毒を制するという点では、理に適ってるけどね」
「私達は帝国自警団なんだよ。自衛の為と言っても、毒を使って良いの?」
「…それは…」
セルニアもアンブロも、シャニーもユナもマリアーネも、答えられなかった。
相手が毒を使ってきたからって、自分達も毒を使ったとして…それは正義と言えるのか。
帝国自警団の一員たる私達が、そのような手段を使って良いのか。
その問いに答えたのは、「彼」だった。
「…いかに美しい正義を掲げたって、死んだら終わりだ」
「…」
「組織のリーダーは、どんな手段を使っても組織を守る義務があると思うが」
「…そうかもしれないけど、でも私は…」
「何を躊躇うことがあるんだ?」
「彼」は、私に挑むような視線を投げかけてきた。
思わず背筋が寒くなった。
「あんたは『青薔薇連合会』に…ルレイア・ティシェリーに殺されて良いのか?」
「そんなこと一言も言ってないよ」
「良いか、あの男は尋常じゃない。まともな人間じゃないんだ。あの男を敵に回しておいて、切り札の一枚も持っていないなんて有り得ない。殺してくれと言ってるようなもんだ」
…胸に刺さる一言だ。
言い返す言葉もない。
「あんたは生きたいのか、それとも死にたいのかどっちだ?」
「生きたいよ…。生きたいに決まってる。帝国自警団の皆と共に」
「だったら、手段は一つだけだ。あの男の毒牙から身を護る為に、切り札を手にする。例えそれが毒だったとしても、自分の命を守る為の毒なら、喜んで口にするべきだ」
「…」
…どうして、君はそこまで。
そこまで…ルレイア卿を目の敵に…。
「ここまで言っても、まだ分からないか?」
「…いいや、よく分かったよ」
今に至っても、私は完全に納得している訳じゃない。
だけど…マリアーネが守り抜き、今私の手の中にある帝国自警団の皆の命を。
大切な仲間の命を守る為に…どうしても必要だと言うのなら。
言う通りにしよう。
「…私も覚悟を決める。…例の話を受けよう」
何が正しいのかなんて、結局のところ誰にも分からないのだから。
よくよく考えて、少しでもマシだと思う選択を選ぶしかない。
「…『青薔薇連合会』を、ルレイア・ティシェリーを信じるかどうかは別にして…。自衛の術は確保しておくべきなんじゃないか?」
と、セルニアが私に言った。
自衛…。
「万が一『青薔薇連合会』が僕達に牙を向けたとして、このままだと、抵抗も出来ずにあっさり潰されるだけだ。対抗する切り札くらいは持っていた方が良い」
「切り札…。それが、例の…?」
「…結果的には、そうなるな」
…。
「本末転倒だよ…。その切り札だって、結局はマフィアの手を借りることに…」
「毒を以て毒を制するという点では、理に適ってるけどね」
「私達は帝国自警団なんだよ。自衛の為と言っても、毒を使って良いの?」
「…それは…」
セルニアもアンブロも、シャニーもユナもマリアーネも、答えられなかった。
相手が毒を使ってきたからって、自分達も毒を使ったとして…それは正義と言えるのか。
帝国自警団の一員たる私達が、そのような手段を使って良いのか。
その問いに答えたのは、「彼」だった。
「…いかに美しい正義を掲げたって、死んだら終わりだ」
「…」
「組織のリーダーは、どんな手段を使っても組織を守る義務があると思うが」
「…そうかもしれないけど、でも私は…」
「何を躊躇うことがあるんだ?」
「彼」は、私に挑むような視線を投げかけてきた。
思わず背筋が寒くなった。
「あんたは『青薔薇連合会』に…ルレイア・ティシェリーに殺されて良いのか?」
「そんなこと一言も言ってないよ」
「良いか、あの男は尋常じゃない。まともな人間じゃないんだ。あの男を敵に回しておいて、切り札の一枚も持っていないなんて有り得ない。殺してくれと言ってるようなもんだ」
…胸に刺さる一言だ。
言い返す言葉もない。
「あんたは生きたいのか、それとも死にたいのかどっちだ?」
「生きたいよ…。生きたいに決まってる。帝国自警団の皆と共に」
「だったら、手段は一つだけだ。あの男の毒牙から身を護る為に、切り札を手にする。例えそれが毒だったとしても、自分の命を守る為の毒なら、喜んで口にするべきだ」
「…」
…どうして、君はそこまで。
そこまで…ルレイア卿を目の敵に…。
「ここまで言っても、まだ分からないか?」
「…いいや、よく分かったよ」
今に至っても、私は完全に納得している訳じゃない。
だけど…マリアーネが守り抜き、今私の手の中にある帝国自警団の皆の命を。
大切な仲間の命を守る為に…どうしても必要だと言うのなら。
言う通りにしよう。
「…私も覚悟を決める。…例の話を受けよう」


