「何処まで行っても、彼らは所詮マフィアだよ。私達の理屈や常識が通じる相手じゃない」
「だけど…。ルレイア卿は元帝国騎士団の隊長で…」
だから、決して悪い人ではないはず…。
「元、でしょう?今は違うわ」
「…そうだけど…」
「…俺も同感だな」
アンブロまでが、「彼」やユナに同意した。
「ルレイア・ティシェリーは、確かに帝国騎士だった。でもそれはもう10年も前のこと。どんな経緯があれど、今は『青薔薇連合会』の幹部なんだ」
…その通りだ。
帝国騎士だった頃のルレイア卿とは、まるで別人のようになっている。
根っこの部分は変わらないはず…と、私は勝手にそう思ってるけど…。
果たして私は…そんなルレイア卿の良心を信じて良いのだろうか?
無意識に楽観視しているのではないか?元帝国騎士なら大丈夫なはずだ、って。
根拠もないのに…。
「そうだね…。警戒しておくに越したことはないと、私も思うよ」
「シャニー…」
シャニーまで…。
「私達がルレイア・ティシェリーの良心を信じても、ルレイア卿の方は私達のことなんて何とも思ってない。それを忘れちゃ駄目だよ」
「それは…分かってるけど」
「一方的に大丈夫だろうと思いこんで、後で痛い目を見るのは私達なんだよ」
「…」
…そうだね。シャニーの言うことは理解出来る。
私は多分…自分に都合が良いように信じ過ぎている。
彼が元帝国騎士だからって…。
「…ごめんね、ブロテちゃん。私もそう思う」
「マリアーネ…」
普段は引っ込み思案で、あまり自分の意見をはっきり表明することのないマリアーネまでもが。
『青薔薇連合会』は、ルレイア・ティシェリーは危険だと認識している。
「ブロテちゃんの意見を否定する訳じゃないんだよ。でも…私は、『青薔薇連合会』がこれまで、色々な…悪いことをするのを見てきた」
「…」
「止めたかったよ。団長代理として、もっとしっかりしないとって…ずっと思ってた。だけど…怖かったの。一度『青薔薇連合会』に睨まれたら、私達なんてひとたまりもないだろうって」
マリアーネは、自身が帝国自警団の団長代理を務めていた頃の、苦しい胸のうちを語ってくれた。
…そっか。そうだね。
マリアーネも辛かったんだよね。
このルティス帝国を、『青薔薇連合会』という…マフィアに好き勝手にされて。
「ブロテちゃんに託された帝国自警団を、どうしても守り抜きたかった。何度も『青薔薇連合会』を止めなきゃならないと思いながら、でも反撃を受けるのが怖くて、何も出来なかったの」
「…それは、マリアーネのせいじゃないよ」
「…ごめんね、ブロテちゃん…。正義が何か、分かってたはずなのに…。何も出来なくて…」
…正義…。…正義、か。
このルティス帝国の大地で、好き勝手に暴れる『青薔薇連合会』を。
「彼らにも良心があるはずだから」と決めつけて、黙って見ていることが正義なのか。
いつか『青薔薇連合会』の牙が、自分達に向くかもしれないと分かっていながら。
事態を静観して、何の対策も取らずに呑気に構えていることが、本当に正しいのか。
私は帝国自警団団長として、真剣に考えなければならない。
帝国自警団の存続の為。そして何より…。
私達が愛する祖国。このルティス帝国の為に。
「だけど…。ルレイア卿は元帝国騎士団の隊長で…」
だから、決して悪い人ではないはず…。
「元、でしょう?今は違うわ」
「…そうだけど…」
「…俺も同感だな」
アンブロまでが、「彼」やユナに同意した。
「ルレイア・ティシェリーは、確かに帝国騎士だった。でもそれはもう10年も前のこと。どんな経緯があれど、今は『青薔薇連合会』の幹部なんだ」
…その通りだ。
帝国騎士だった頃のルレイア卿とは、まるで別人のようになっている。
根っこの部分は変わらないはず…と、私は勝手にそう思ってるけど…。
果たして私は…そんなルレイア卿の良心を信じて良いのだろうか?
無意識に楽観視しているのではないか?元帝国騎士なら大丈夫なはずだ、って。
根拠もないのに…。
「そうだね…。警戒しておくに越したことはないと、私も思うよ」
「シャニー…」
シャニーまで…。
「私達がルレイア・ティシェリーの良心を信じても、ルレイア卿の方は私達のことなんて何とも思ってない。それを忘れちゃ駄目だよ」
「それは…分かってるけど」
「一方的に大丈夫だろうと思いこんで、後で痛い目を見るのは私達なんだよ」
「…」
…そうだね。シャニーの言うことは理解出来る。
私は多分…自分に都合が良いように信じ過ぎている。
彼が元帝国騎士だからって…。
「…ごめんね、ブロテちゃん。私もそう思う」
「マリアーネ…」
普段は引っ込み思案で、あまり自分の意見をはっきり表明することのないマリアーネまでもが。
『青薔薇連合会』は、ルレイア・ティシェリーは危険だと認識している。
「ブロテちゃんの意見を否定する訳じゃないんだよ。でも…私は、『青薔薇連合会』がこれまで、色々な…悪いことをするのを見てきた」
「…」
「止めたかったよ。団長代理として、もっとしっかりしないとって…ずっと思ってた。だけど…怖かったの。一度『青薔薇連合会』に睨まれたら、私達なんてひとたまりもないだろうって」
マリアーネは、自身が帝国自警団の団長代理を務めていた頃の、苦しい胸のうちを語ってくれた。
…そっか。そうだね。
マリアーネも辛かったんだよね。
このルティス帝国を、『青薔薇連合会』という…マフィアに好き勝手にされて。
「ブロテちゃんに託された帝国自警団を、どうしても守り抜きたかった。何度も『青薔薇連合会』を止めなきゃならないと思いながら、でも反撃を受けるのが怖くて、何も出来なかったの」
「…それは、マリアーネのせいじゃないよ」
「…ごめんね、ブロテちゃん…。正義が何か、分かってたはずなのに…。何も出来なくて…」
…正義…。…正義、か。
このルティス帝国の大地で、好き勝手に暴れる『青薔薇連合会』を。
「彼らにも良心があるはずだから」と決めつけて、黙って見ていることが正義なのか。
いつか『青薔薇連合会』の牙が、自分達に向くかもしれないと分かっていながら。
事態を静観して、何の対策も取らずに呑気に構えていることが、本当に正しいのか。
私は帝国自警団団長として、真剣に考えなければならない。
帝国自警団の存続の為。そして何より…。
私達が愛する祖国。このルティス帝国の為に。


