The previous night of the world revolution7~P.D.~

生まれながらの悪人なんていない。

ただ周りの環境が、その人を悪人にもすれば、善人にもするのだ。

『青薔薇連合会』は、自分達の味方である下部組織を襲った。

でもそれには、きっと何か理由があるはずだ。

理由もなく味方を切り捨てることはない…はずだ。

無益に敵を作って、『青薔薇連合会』にとって得なことは何もないはずだから。

「襲撃の…理由?」

「うん…。何かあるはずだよ。先にその下部組織に裏切られたとか…」

裏切り者に粛清を加えた、というのが一番納得出来る理由だ。

納得出来るからって、賛成はしないけど。

私達は暴力そのものを否定はしない。時には、相手を強制的に屈することの出来る強い力が必要だ。

だけど暴力を使うのは、いつだって最終手段であるべきだ。

話し合いによる解決を試みて、最後まで平和的な解決方法を模索する。

それでもどうしても駄目で、向こうから暴力を仕掛けてくるようなことがあれば…。

自衛の為、そして相手がこれ以上暴力によって身を滅ぼすことがないよう、私達もまた暴力を以て相手を止める。

それが私達の信条である。

だけど…それは私達の理想であって、『青薔薇連合会』に同じ理屈は通じない。

私達に私達の正義があるように、『青薔薇連合会』にも『青薔薇連合会』の正義があるはずだから。

賛成は出来ないけど…。可能な限り、尊重はしてあげたいと思う。

「あるいは…『青薔薇連合会』に内緒で悪いことをしてたとか…」

そんな理由があるから、きっとルレイア卿達は、自分の仲間を切り捨てることにしたんだ。

…しかし。

「…いいや、そんな話は聞いてない。ある日突然、理由もなく両組織を潰しに行ったんだ」

「彼」は、冷たい声で答えた。

…そんな…。理由もなく…?

「それも部下に任せるんじゃなく、幹部組が数名で予告なく襲撃したらしい。お陰で、襲撃された方は抵抗する術もなく潰された」

「幹部が…?それって、もしかしてルレイア卿が…」

「そうだろうな。あの男が主導したんだろう」

「…」

ルレイア卿が主導で…。…そんな…あの人が…。

「どうしてルレイア卿が…そんなことを…」

「決まってるだろう?奴が血も涙もない、残忍なマフィアの幹部だからだ。他に理由なんかない」

「…」

血も涙もない、残忍なマフィア…。

本当にそうなんだろうか。元帝国騎士団四番隊隊長だった人が。

「でも、まがりなりにも自分達の味方組織を、理由もなく壊滅させるだろうか?」

セルニアが疑問を呈した。

私もそう思う。

そんなことをして、『青薔薇連合会』には何の得になるんだ? 

余計な敵を増やすだけでは?

しかし、「彼」は。

「マフィア相手に、一般人の理屈が通じるとでも?」

ジロリとセルニアを睨むように言った。

更に、こう続けた。

「襲撃されたのは、両組織とも小さな組織だった。生かしておいても大した利益が得られなかったんだろう」

「…」

「生かしておいても得にならないなら、それだけで潰す理由になる。あとは…見せしめの為かもしれないな」

「…見せしめ?」

それが理由?自分の仲間を無惨に殺した理由だと言うのか?