生まれながらの悪人なんていない。
ただ周りの環境が、その人を悪人にもすれば、善人にもするのだ。
『青薔薇連合会』は、自分達の味方である下部組織を襲った。
でもそれには、きっと何か理由があるはずだ。
理由もなく味方を切り捨てることはない…はずだ。
無益に敵を作って、『青薔薇連合会』にとって得なことは何もないはずだから。
「襲撃の…理由?」
「うん…。何かあるはずだよ。先にその下部組織に裏切られたとか…」
裏切り者に粛清を加えた、というのが一番納得出来る理由だ。
納得出来るからって、賛成はしないけど。
私達は暴力そのものを否定はしない。時には、相手を強制的に屈することの出来る強い力が必要だ。
だけど暴力を使うのは、いつだって最終手段であるべきだ。
話し合いによる解決を試みて、最後まで平和的な解決方法を模索する。
それでもどうしても駄目で、向こうから暴力を仕掛けてくるようなことがあれば…。
自衛の為、そして相手がこれ以上暴力によって身を滅ぼすことがないよう、私達もまた暴力を以て相手を止める。
それが私達の信条である。
だけど…それは私達の理想であって、『青薔薇連合会』に同じ理屈は通じない。
私達に私達の正義があるように、『青薔薇連合会』にも『青薔薇連合会』の正義があるはずだから。
賛成は出来ないけど…。可能な限り、尊重はしてあげたいと思う。
「あるいは…『青薔薇連合会』に内緒で悪いことをしてたとか…」
そんな理由があるから、きっとルレイア卿達は、自分の仲間を切り捨てることにしたんだ。
…しかし。
「…いいや、そんな話は聞いてない。ある日突然、理由もなく両組織を潰しに行ったんだ」
「彼」は、冷たい声で答えた。
…そんな…。理由もなく…?
「それも部下に任せるんじゃなく、幹部組が数名で予告なく襲撃したらしい。お陰で、襲撃された方は抵抗する術もなく潰された」
「幹部が…?それって、もしかしてルレイア卿が…」
「そうだろうな。あの男が主導したんだろう」
「…」
ルレイア卿が主導で…。…そんな…あの人が…。
「どうしてルレイア卿が…そんなことを…」
「決まってるだろう?奴が血も涙もない、残忍なマフィアの幹部だからだ。他に理由なんかない」
「…」
血も涙もない、残忍なマフィア…。
本当にそうなんだろうか。元帝国騎士団四番隊隊長だった人が。
「でも、まがりなりにも自分達の味方組織を、理由もなく壊滅させるだろうか?」
セルニアが疑問を呈した。
私もそう思う。
そんなことをして、『青薔薇連合会』には何の得になるんだ?
余計な敵を増やすだけでは?
しかし、「彼」は。
「マフィア相手に、一般人の理屈が通じるとでも?」
ジロリとセルニアを睨むように言った。
更に、こう続けた。
「襲撃されたのは、両組織とも小さな組織だった。生かしておいても大した利益が得られなかったんだろう」
「…」
「生かしておいても得にならないなら、それだけで潰す理由になる。あとは…見せしめの為かもしれないな」
「…見せしめ?」
それが理由?自分の仲間を無惨に殺した理由だと言うのか?
ただ周りの環境が、その人を悪人にもすれば、善人にもするのだ。
『青薔薇連合会』は、自分達の味方である下部組織を襲った。
でもそれには、きっと何か理由があるはずだ。
理由もなく味方を切り捨てることはない…はずだ。
無益に敵を作って、『青薔薇連合会』にとって得なことは何もないはずだから。
「襲撃の…理由?」
「うん…。何かあるはずだよ。先にその下部組織に裏切られたとか…」
裏切り者に粛清を加えた、というのが一番納得出来る理由だ。
納得出来るからって、賛成はしないけど。
私達は暴力そのものを否定はしない。時には、相手を強制的に屈することの出来る強い力が必要だ。
だけど暴力を使うのは、いつだって最終手段であるべきだ。
話し合いによる解決を試みて、最後まで平和的な解決方法を模索する。
それでもどうしても駄目で、向こうから暴力を仕掛けてくるようなことがあれば…。
自衛の為、そして相手がこれ以上暴力によって身を滅ぼすことがないよう、私達もまた暴力を以て相手を止める。
それが私達の信条である。
だけど…それは私達の理想であって、『青薔薇連合会』に同じ理屈は通じない。
私達に私達の正義があるように、『青薔薇連合会』にも『青薔薇連合会』の正義があるはずだから。
賛成は出来ないけど…。可能な限り、尊重はしてあげたいと思う。
「あるいは…『青薔薇連合会』に内緒で悪いことをしてたとか…」
そんな理由があるから、きっとルレイア卿達は、自分の仲間を切り捨てることにしたんだ。
…しかし。
「…いいや、そんな話は聞いてない。ある日突然、理由もなく両組織を潰しに行ったんだ」
「彼」は、冷たい声で答えた。
…そんな…。理由もなく…?
「それも部下に任せるんじゃなく、幹部組が数名で予告なく襲撃したらしい。お陰で、襲撃された方は抵抗する術もなく潰された」
「幹部が…?それって、もしかしてルレイア卿が…」
「そうだろうな。あの男が主導したんだろう」
「…」
ルレイア卿が主導で…。…そんな…あの人が…。
「どうしてルレイア卿が…そんなことを…」
「決まってるだろう?奴が血も涙もない、残忍なマフィアの幹部だからだ。他に理由なんかない」
「…」
血も涙もない、残忍なマフィア…。
本当にそうなんだろうか。元帝国騎士団四番隊隊長だった人が。
「でも、まがりなりにも自分達の味方組織を、理由もなく壊滅させるだろうか?」
セルニアが疑問を呈した。
私もそう思う。
そんなことをして、『青薔薇連合会』には何の得になるんだ?
余計な敵を増やすだけでは?
しかし、「彼」は。
「マフィア相手に、一般人の理屈が通じるとでも?」
ジロリとセルニアを睨むように言った。
更に、こう続けた。
「襲撃されたのは、両組織とも小さな組織だった。生かしておいても大した利益が得られなかったんだろう」
「…」
「生かしておいても得にならないなら、それだけで潰す理由になる。あとは…見せしめの為かもしれないな」
「…見せしめ?」
それが理由?自分の仲間を無惨に殺した理由だと言うのか?


