The previous night of the world revolution7~P.D.~

――――――…こちらは、帝国自警団本部。

丁度今、非常に暗いニュースが届けられたところだ。

「…そう…。そっか…」

私は報告を聞くなり、両手を組んで、しばし考え込んだ。

…そんなことがあったんだ。

「…『青薔薇連合会』が、立て続けに他組織を襲撃するなんて…」

マリアーネが、困惑した表情でそう呟いた。

そう。それがさっき…「彼」が報告してくれた内容だ。

『青薔薇連合会』…あのルレイア・ティシェリー卿達が。

立て続けに、他組織を問答無用で襲撃、壊滅させたとのこと。

非常に過激な行動だ。…実にマフィアらしいと言える。

「その…襲撃された組織の名前は?」

「一つは『霧塵会』。もう一つは『M.T.S社』。両方共、『青薔薇連合会』の下部組織だった」

「彼」は手帳を見ながら、そう説明してくれた。

『青薔薇連合会』の下部組織?

「つまり…襲撃された二つの組織は、『青薔薇連合会』の仲間だったってこと?」

「…そういうことになるな」

「…そんな…。味方を襲ったの…?」

彼らはマフィアなのだから、味方と言っても、私達が思うような…友好な関係を築いた仲間、って訳じゃないんだろう。

きっと、利害が一致する相手…くらいの認識なのだ。

だから、利害が一致しなくなったら…容赦なく切り捨てることが出来る。

非合法組織の恐ろしさを、こんなところで実感する。

「そう、味方を襲ったんだ。いずれの組織も、『青薔薇連合会』とは比較にならないほど小さな組織…。抵抗する術はない」

襲われたらひとたまりもない…ってことか。

実際その二つの組織…『霧塵会』と『M.T.S社』だっけ。

この二つは、『青薔薇連合会』の強大な圧力に潰されて、壊滅してしまったという。

…いくらマフィアに所属しているとはいえ、思わずにはいられない。

ルレイア・ティシェリー卿に殺された人々はは、さぞや無念だったことだろう…と。

どんな理由があれ…殺人は容認されるべき行為ではない。

共存の道を選べなかったのか。

利害の一致しなくなった相手を、容赦なく踏み潰すんじゃなくて、共存の道を。

考えもしなかったのだろうか?ルレイア卿は…。

…元帝国騎士団四番隊隊長だった人が…。

「自分達の味方であった組織でも、平然と潰せるんだ。あいつらは…」

「彼」は吐き捨てるようにそう言った。

…そうだね。そう聞くと…凄く悪者に思える。

だけど…確認しておきたいことがある。

「…でも、何か理由があったんじゃないの?」

ルレイア卿は恐ろしい人だけれど、でも知性のない獣ではない。

理由があれば誰が相手でも噛みつくが、理由なく、見境なく人を傷つける人ではない。

…と、私は信じている。

彼にもまだ、理性が、知性が、人としての心が。

…良心というものが残っているはずだ、と。