――――――…こちらは、帝国自警団本部。
丁度今、非常に暗いニュースが届けられたところだ。
「…そう…。そっか…」
私は報告を聞くなり、両手を組んで、しばし考え込んだ。
…そんなことがあったんだ。
「…『青薔薇連合会』が、立て続けに他組織を襲撃するなんて…」
マリアーネが、困惑した表情でそう呟いた。
そう。それがさっき…「彼」が報告してくれた内容だ。
『青薔薇連合会』…あのルレイア・ティシェリー卿達が。
立て続けに、他組織を問答無用で襲撃、壊滅させたとのこと。
非常に過激な行動だ。…実にマフィアらしいと言える。
「その…襲撃された組織の名前は?」
「一つは『霧塵会』。もう一つは『M.T.S社』。両方共、『青薔薇連合会』の下部組織だった」
「彼」は手帳を見ながら、そう説明してくれた。
『青薔薇連合会』の下部組織?
「つまり…襲撃された二つの組織は、『青薔薇連合会』の仲間だったってこと?」
「…そういうことになるな」
「…そんな…。味方を襲ったの…?」
彼らはマフィアなのだから、味方と言っても、私達が思うような…友好な関係を築いた仲間、って訳じゃないんだろう。
きっと、利害が一致する相手…くらいの認識なのだ。
だから、利害が一致しなくなったら…容赦なく切り捨てることが出来る。
非合法組織の恐ろしさを、こんなところで実感する。
「そう、味方を襲ったんだ。いずれの組織も、『青薔薇連合会』とは比較にならないほど小さな組織…。抵抗する術はない」
襲われたらひとたまりもない…ってことか。
実際その二つの組織…『霧塵会』と『M.T.S社』だっけ。
この二つは、『青薔薇連合会』の強大な圧力に潰されて、壊滅してしまったという。
…いくらマフィアに所属しているとはいえ、思わずにはいられない。
ルレイア・ティシェリー卿に殺された人々はは、さぞや無念だったことだろう…と。
どんな理由があれ…殺人は容認されるべき行為ではない。
共存の道を選べなかったのか。
利害の一致しなくなった相手を、容赦なく踏み潰すんじゃなくて、共存の道を。
考えもしなかったのだろうか?ルレイア卿は…。
…元帝国騎士団四番隊隊長だった人が…。
「自分達の味方であった組織でも、平然と潰せるんだ。あいつらは…」
「彼」は吐き捨てるようにそう言った。
…そうだね。そう聞くと…凄く悪者に思える。
だけど…確認しておきたいことがある。
「…でも、何か理由があったんじゃないの?」
ルレイア卿は恐ろしい人だけれど、でも知性のない獣ではない。
理由があれば誰が相手でも噛みつくが、理由なく、見境なく人を傷つける人ではない。
…と、私は信じている。
彼にもまだ、理性が、知性が、人としての心が。
…良心というものが残っているはずだ、と。
丁度今、非常に暗いニュースが届けられたところだ。
「…そう…。そっか…」
私は報告を聞くなり、両手を組んで、しばし考え込んだ。
…そんなことがあったんだ。
「…『青薔薇連合会』が、立て続けに他組織を襲撃するなんて…」
マリアーネが、困惑した表情でそう呟いた。
そう。それがさっき…「彼」が報告してくれた内容だ。
『青薔薇連合会』…あのルレイア・ティシェリー卿達が。
立て続けに、他組織を問答無用で襲撃、壊滅させたとのこと。
非常に過激な行動だ。…実にマフィアらしいと言える。
「その…襲撃された組織の名前は?」
「一つは『霧塵会』。もう一つは『M.T.S社』。両方共、『青薔薇連合会』の下部組織だった」
「彼」は手帳を見ながら、そう説明してくれた。
『青薔薇連合会』の下部組織?
「つまり…襲撃された二つの組織は、『青薔薇連合会』の仲間だったってこと?」
「…そういうことになるな」
「…そんな…。味方を襲ったの…?」
彼らはマフィアなのだから、味方と言っても、私達が思うような…友好な関係を築いた仲間、って訳じゃないんだろう。
きっと、利害が一致する相手…くらいの認識なのだ。
だから、利害が一致しなくなったら…容赦なく切り捨てることが出来る。
非合法組織の恐ろしさを、こんなところで実感する。
「そう、味方を襲ったんだ。いずれの組織も、『青薔薇連合会』とは比較にならないほど小さな組織…。抵抗する術はない」
襲われたらひとたまりもない…ってことか。
実際その二つの組織…『霧塵会』と『M.T.S社』だっけ。
この二つは、『青薔薇連合会』の強大な圧力に潰されて、壊滅してしまったという。
…いくらマフィアに所属しているとはいえ、思わずにはいられない。
ルレイア・ティシェリー卿に殺された人々はは、さぞや無念だったことだろう…と。
どんな理由があれ…殺人は容認されるべき行為ではない。
共存の道を選べなかったのか。
利害の一致しなくなった相手を、容赦なく踏み潰すんじゃなくて、共存の道を。
考えもしなかったのだろうか?ルレイア卿は…。
…元帝国騎士団四番隊隊長だった人が…。
「自分達の味方であった組織でも、平然と潰せるんだ。あいつらは…」
「彼」は吐き捨てるようにそう言った。
…そうだね。そう聞くと…凄く悪者に思える。
だけど…確認しておきたいことがある。
「…でも、何か理由があったんじゃないの?」
ルレイア卿は恐ろしい人だけれど、でも知性のない獣ではない。
理由があれば誰が相手でも噛みつくが、理由なく、見境なく人を傷つける人ではない。
…と、私は信じている。
彼にもまだ、理性が、知性が、人としての心が。
…良心というものが残っているはずだ、と。


