The previous night of the world revolution7~P.D.~

「うちには、無断外泊して、よその男や女と朝までホテルでイチャイチャするような夫はいません」

…とのこと。

僕が外泊した理由、浮気だと思ってます?

それはそれで平和な誤解だ。

まぁ、そういう振りをしてくれているだけかもしれないが。

「セカイさん。セカイお姉ちゃんってば」

「そーんな悪い弟君は、うちにはいません!」

「何処で習ってきたんですか?そんな小芝居…」

「小芝居じゃありません!」

あ、そうですか。

「お宅みたいな悪い子は知らないので、出てってください」

「そうですか…。それは残念です。折角、行列の出来るケーキ屋さんのケーキを買ってきたのに」

「…え?」

くるり、とこちらを振り向くセカイお姉ちゃん。

「以前、セカイお姉ちゃんが食べたがってましたから。一日数量限定の、りんごと紅茶のケーキ」

「…!!」

…獲物が餌に食いついたようだ。

何だろう。チョロくて可愛い。

まぁ、合わせてくれてるだけかもしれないけど。

「僕はよその子らしいんで、仕方ないですね。出ていきます、ケーキと共に」

「ちょっと待ったぁ!」

くるりと踵を返して、出ていこうとしたところを。

セカイお姉ちゃんに、肩をがっちり掴まれて止められた。

「どうかしました?」

「ケーキ食べさせてくださいお願いしますぅ!」

どうやらケーキの誘惑には抗えなかったらしい。

どストレートですね。

「じゃあ、僕ここにいて良いですか?」

「…良いよぅ…。ルーチェスが昨日帰ってこないから、心配だったんだよ」

「それは済みませんでした。心配かけましたね」

本当に申し訳ない。

まさか、病院で眠りこけてましたとも言えず。