The previous night of the world revolution7~P.D.~

――――――…僕が目を覚ました、その日の夕方。

僕は片手にケーキの入った紙袋を、片手に花束を抱えて帰宅した。

本当は、もう一晩念の為に入院しては?と医者に勧められたのだが。

元気なのにベッドに横たわっていることほど、退屈なものはない。

何より、BL本を読んでしまったことでムラムラしてるし。

…セカイさんのことが心配だし、セカイさんも多分僕のことを心配してるし。

早く彼女に会って安心させたい、安心したいと思って。

手土産と花束を買って帰ったのは、無断外泊のお詫びである。

お隣のルヴィア・クランチェスカさんが、僕が昨夜家に帰らない旨をセカイさんに伝えてくれたらしいのだが。

それでもやっぱり、誠意ってものを見せる必要があるだろう?

そんな訳で、さっさと退院して、手土産と花束を持って帰宅した次第である。

これで機嫌を直してくれる…もとい。

これで誤魔化しきれると良いのだが。

まさか僕に、昨日の記憶がないなんて伝えたら…余計心配かけるだけだろう。

上手く切り抜ける必要がありそうだ。

「ただいま、セカイさん」

そう言って、2日ぶりに自分の家に戻ると。

その音を聞きつけたのか、リビングの奥から走る音が聞こえてきて。

Tシャツにジーンズという、ラフな格好のセカイさんが姿を現した。
 
おっと。

何だか久し振りに会う気がしますね。昨日一日会ってないだけなのに。

「ただいま、セカイさん」

「る…ルーチェス君だぁ!」

目をキラキラさせて、この反応。

ドクターストップを跳ね除けて、無理矢理帰ってきた甲斐があるというものである。

あー涎が出そう。

今両手が塞がってるから、涎も拭えない。

「お帰り〜ルーチェス君!無事に帰ってきてくれて良かった!」

「はい。ご心配お掛けしました」

「今日も帰ってこないんじゃないかって心配してたんだよ。もー、帰ってくるなら帰ってくるって言ってよぅ。裸エプロンで待っててあげたのにー…」

それは非常に惜しいことをした。

誠に惜しいことをした。

一生モノの失態では?

「でも、元気そうだから良いや!」

「ありがとうございます。これお詫びの品なんですが、受け取ってもらえますか」

「やったー、ありがとう!嬉し、はっ!」

は?

セカイさんは、突然何やら思いついたのか…閃いたのか。

ジロッ、とこちらを見て。そしてプイッとそっぽを向いた。

…??

その反応は何だ?

「…セカイさん…?」

「あら。どなたですか?あなたみたいな人は知りませんけど」

「…」

…おっと、これは。

これはもしかして…もしかするのでは?