The previous night of the world revolution7~P.D.~

「…ちょっと待て。お前、何か誤解してるだろ」

俺はレイピア女にそう言った。

オルタンスがルレイアにお熱なのは確かだが、そのことと俺達は関係ない。

オルタンスが勝手に騒いでるだけだ。

俺達まで巻き込んでくれるな。

それに、『青薔薇連合会』と繋がっている…とか言ったな。

それも大きな誤解だ。

いや、そりゃ…全く無関係という訳ではないかもしれないが。

それでも、俺達帝国騎士団と『青薔薇連合会』は、大きく一線を画す存在だ。お互いに。

帝国騎士団などと繋がっていると言われたら、ルレイアは激怒するに違いない。

「何の誤解?」

「それは、だから…。…つーか、お前誰なんだよ?」

帝国騎士団と『青薔薇連合会』の、微妙な関係について。

こんな、海の物とも山の物ともつかぬレイピア女がに教えて良いものか。

そもそもお前は誰なんだよ。お前達は。

一体どういう立場で、こんなところまで…。

「私の名は、ブロテ・ルリシアス」

レイピア女…改め、ブロテ・ルリシアスは。

特に勿体振ることなく、自分の名を名乗った。

…別に隠していた、という訳じゃなさそうだな。

ブロテ…。ブロテ・ルリシアス…。

名前を聞いて、「あぁお前か」と思いつく人物はいないが…。

でも、何処かで聞いたことがある…ような…。

他の隊長達の顔を見ると、俺と似たりよったりだった。

覚えているような、覚えていないような。

ただルーシッドだけは、全く思い当たる節がないようだった。

ルーシッドだけ、特別に記憶力に乏しいという訳ではない。

ってことは単純に、ルーシッドはこのレイピア女…ブロテに会ったことがないんだろう。

裏を返せば、思い当たる節があるルーシッド以外の隊長達は、何処かで会ったことがある…んだろうが。

生憎、記憶に残ってない。

…と、思ったが。

「帝国自警団の団長か」

この場で今、最も頼りなく、しかし同時に、最も記憶力に優れたオルタンスが。

答え合わせをするように、ポツリとそう呟いた。

「…覚えていたんだね」

「あぁ。そうらしいな」

帝国自警団。

オルタンスにそう言われて、俺もはっきりと思い出した。

そうだ。確かにそうだった。

成程、覚えていない訳だ。

ここ10年近く、帝国自警団はルティス帝国に存在していないも同然だったから。

その自警団の団長が、突然ぽっと現れたからって…覚えていないのは当然だ。

むしろ、オルタンスはよく覚えていたな。

間が抜けているように見えて、こういうところは無駄にしっかりしている。

さすが帝国騎士団長様、ってところか?

だったら、普段からもっと威厳を感じる言動をして欲しいもんだがな。