ルーチェスが目を覚ました、との一報を受け。

俺達幹部組は、すぐさまルーチェスの入院している病院に向かった。

「ルーチェス!大丈夫なのか…!?」

ルルシーは緊迫した様子で病室に入った。

…が。

「あれ。皆さんお揃いでどうしたんですか?」

当のルーチェスは、ベッドに起き上がって読書中だった。

とっても元気そう。

ちなみに、読んでいる本の表紙には…。

逞しい身体つきの男二人が、がっちりと組み合っていらっしゃった。

わーお。

「お前…何読んでるんだ…?」

「え?BLコミックです」

ですよね。どう見ても。

やっぱり、とっても元気そう。

「…」

そのあられもない本の表紙を見て、シュノさんは頬を赤らめて明後日の方を向き。

アイズはアリューシャの両目をそっと押さえて、

「アリューシャは見ちゃ駄目だよ。アリューシャにはまだ早いからね」

と、言っていた。

ルリシヤは顔色一つ変えてなかった。さすが。

そして、ルルシーは。

「…お前…俺達がこんなに心配してたっていうのに…。何でそんなびっ…BL本なんか読んでるんだよ…!?」

「なんか」って言ったら失礼じゃないですか。

全国の腐った老若男女の皆さん大激怒。

「だって、元気だから退院させてくれって頼んだのに、まだ駄目だって言われてしまって…」

ルーチェスはBL本を閉じて、脇に置きながら言った。

「退屈だったし、ムラムラしてきたのでBL本で気を紛らわせてました」

「…そんなもんで退屈を紛らわすんじゃない。もっと健全なもので暇潰しをしろ」

尊いBL本を「そんなもん」呼ばわりとは。

全国の腐った老若男女の皆さ(ry。

「…そんなことより」

ルルシーはルーチェスのベッド脇に立って、じっとルーチェスを睨むように見つめた。

「お前、大丈夫なのか?身体は…」

「あまり大丈夫ではないですね。ただでさえ退屈していたところに、好みのBLコミックを読んでしまったので、むしろムラムラが増してきてしまって…」

「そういう心配は一切してない。殴るぞお前」

まぁまぁ、ルルシー。

「そっち」の体調も大事ですよ?俺やルーチェスみたいな生業をやってたら。

「そうじゃなくて、何処か痛いとか、目が回るとかふらふらするとか、そういうことはないのか?」

「あぁ、はい。そういうことは全くないですね」

「本当だろうな…!?ルレイアみたいに強がってるだけじゃないだろうな?」

ちょっと。何で俺の名前が出てくるんですか。

俺はいつだって、自分に素直ですよ?

「本当に大丈夫ですって。…僕が寝てる間に、色々検査したんでしょう?」

「それは…」

昨日、ルーチェスを病院に運び込んでから。

数時間かけて、徹底的にルーチェスの身体を検査した。

採血もレントゲンもMRI検査も、色々やりましたよ。

「…隅々まで検査したよ。外傷がないかとか、毒物を摂取させられた形跡かないかとか…」

「…僕の身体を…隅々まで…?何だかえっちな響き…」

「ふざけてる場合じゃないんだよ、この腐男子。やっぱり殴ってやろうか」

ルルシーったら、過激派なんだから。

むしろこんな軽口が叩けるくらい元気で良かった、と思うところだろう?