The previous night of the world revolution7~P.D.~

「あれぇ…?ルーチェス君じゃない。ルヴィア君じゃない」

「…どうも…」

「帰ってくる家間違えた?君の可愛い奥さんはお隣だよ?」

「それは知ってます…」

俺の可愛いフューニャは、この部屋の隣にいる。

俺が帰ってくるのを待ってくれているはずだ。

丁度、このセカイさんがルーチェスさんの帰宅を待っていたのと同じように。

「実は、その…」

今日ルーチェスさんは戻ってこない…と。

早速言おうとしたのだが。

セカイさんは何を思ったが、ぽん、と手を叩いた。

「あぁ分かった!フューニャちゃんに怒られて、追い出されちゃったんだね?」

え?

「よしよし、それは可哀想に。良いよ。うちで時間潰して行きなよ」

どうぞどうぞ、と家に上げてくれようとするセカイさん。

いや、あの。

どういう勘違い?

「大丈夫大丈夫。フューニャちゃんには、私から言っておくよ。『浮気の10回や20回、広い心で許してあげようよ』って」

思わず吹き出すところだった。

…多くないか?

あと、俺は浮気がバレてフューニャに追い出され、ルーチェスさんの家に泣きつきに来た訳ではない。

何故そんな勘違いをしたのか。

「さぁさぁどうぞ。大したおもてなしも出来ないけど」

「いや、あの。そうじゃなくて」

「え?」

「俺は別に…浮気がバレてフューニャに追い出された訳じゃないよ…」

そんな恐ろしいことが出来るか。

可愛いフューニャを差し置いて、他の女に横恋慕するなんて有り得ない。

フューニャが一番なんだから、他の女に目が眩むはずがないだろう?

「あれ?そうなの?」

何でそんな意外そうな顔なんだ?

俺、浮気すると思われてる?フューニャはセカイさんに、俺のことをどう説明してるんだ…?

「じゃあどうしたの?ルーチェス君は?一緒じゃないの?」

ぎくっ。

その…ルーチェスさんのことを話しに来たんだ。

冷静に、冷静に…。何気ない風を装って…。

「あ、あぁ…。実はそのことを話しに来たんだけど」

「ほぇ?」

「今日、ルーチェスさんは戻ってこない」

「…へ?何で?」

うっ…。

頑張れ、俺。嘘を突き通すんだ。

「ちょっと、任務が長引いているらしくて…。任務に同行しているルルシーさん経由で、セカイさんに伝えてくれるように頼まれたんだ」

「…ルーチェス君、今日帰ってこないの?」
 
「あ、あぁ…」

「…そうなんだ…」

セカイさんの、このしょんぼりした顔。

普段が底なしに明るい人であるが故に、余計罪悪感を煽られる。

でも、まさか本当のことを言う訳にはいかないし…。

ここが耐え時だ。

「任務かー…。何の任務なの?」

「そ、それは…。その、人に話す訳にはいかなくて」

「そっかー…。そうだよね」

…辛い。

嘘を付くの、非常に辛いぞ。

俺には向いてないのかもしれない。隠し事…。