The previous night of the world revolution7~P.D.~

正直、あまり楽しい仕事ではない。

と言うか…気が進まない。

だって、ルーチェスさんが入院していることを黙って、任務が長引いているという…下手な嘘をつかないといけないんだろう?

誰だって、そんな虚偽の報告をするのは気が進まないよ。

幸いなことに…ルーチェスさんの嫁…セカイさんは、俺の可愛いフューニャのような、鋭い嗅覚は持っていない。

俺の嘘を、目ざとく見抜くことは出来ないはずだ。

その点は安心しているが…だからって、相手を騙して愉快なはずもなく。
 
気が重いけど、だからって連絡もなしでルーチェスさんが一晩家を空けたら、セカイさんが心配するのは当然だし…。

彼女に心配をかけない為にも、俺が一芝居打つ必要がある。

ルレイアさんやルルシーさんが言うより、ある程度気心の知れた俺が言う方が、信憑性があるだろう。

そう見込んで、ルルシーさんはわざわざ俺に頼んできたのだ。

「嫌な役回りをさせて済まないが、宜しく頼む」と頭まで下げられてしまったからには。

引き受けない訳にはいかないだろう。どうあっても。

仕方なく、俺は覚悟を決めて自宅マンションに帰ってきた。

自室の隣が、セカイさんの住むアンブローシア宅である。

インターホンを押してから、俺は努めて何気ない風を装った。

上手くやらなければ。

インターホンを押してしばらくすると、部屋の奥からパタパタとスリッパを履いて駆ける音がした。

…来た。

「は〜い!ルーチェス君おっかえ…り…?」

ルーチェスさんを出迎えるつもりで、満面笑みで出てきたのに。

玄関先に立っている俺を見て、セカイさんはキョトン顔になった。

…本当、済みません。俺で。