The previous night of the world revolution7~P.D.~

――――――…突然ルルシーさんに呼び出されたかと思うと。

俺は、とんでもない頼み事をされてしまった。

ルルシーさん曰く、「ルーチェスが敵組織に乗り込んで、意識を失った。今のところ命に別条はない。でも今夜は帰れそうにないから、ルーチェス嫁に『任務が長引いていて今夜は帰れない』旨を伝えて欲しい」とのこと。

思わず耳を疑った。

ルルシーさんとルレイアさん、ルーチェスさんの三人が、今日敵組織に…。

いや、正しくは敵対している『青薔薇連合会』の下部組織に…奇襲を仕掛け。

奴らが隠しているという、謎の兵器を押収しに行くという任務が行われることは、事前に聞いていた。

人数としてはたった三人という、非常に頼りない数だが。

しかし、俺は何も心配していなかった。

だって、この『青薔薇連合会』で…いや、ルティス帝国で最も実力のある三人が派遣されたのだ。

無敵に決まってる。

案の定、ルルシーさん達は無傷で帰ってきた。

でも…ルーチェスさんだけは、意識を失った状態で戻ってきたとか。

すぐに『青薔薇連合会』傘下の病院に運び込まれ、今検査中だそうだ。

まさかあのルーチェスさんが、敵の攻撃にやられたとでも言うのだろうか?

とても信じられない。

命に別条はない、と言うか、どう見てもただ眠っているだけ…ならしいが。

しかし、むしろそれが不気味だ。

理由もないのに眠るなんて、そんなことがあるか?

しかも、戦場のど真ん中で。

なんかそういう病気あったよな。日中、突然眠くなって気絶するように眠ってしまう病気…。

もしかしてルーチェスさんは、それなのだろうか?

分からないけど…分からないが故に、はっきりしたことは何も言えない。

分かっているのは、今夜ルーチェスさんは自宅に帰れないということだけだ。

それだけは確実である。

よって、彼が今夜帰らないことを、彼の帰宅を今か今かと待っている彼の奥さんに伝えないといけない。

その役目を託されたのが、俺である。