The previous night of the world revolution7~P.D.~

「それから…。不甲斐ないが、『M.T.S社』のリーダーと、幹部数人に逃げられた」

と、ルルシーはアイズに報告した。

ルーチェスのことで頭いっぱいだったけど、一応そちらの報告もしないとな。

追撃すれば捕まえられる可能性も、無きにしもあらず…だったが。

あのときは、まずルーチェスを無事に連れて帰ることが優先だったから。

そこまで頭を回している余裕はなかった。

「新兵器とやらも…確認は出来なかった。済まん…」

「別に謝らなくて良いよ。想定内だし、逃げ足だけは速かったってことだね」

何せ、リーダーの影武者を用意していたくらいだからな。

何かあればすぐに逃げられるよう、日頃から備えは万全だったのだろう。

アイズの言う通り。逃げ足だけは速い連中だ。

「『M.T.S社』の本部は、今私の部下達が押さえてる。徹底的に捜索しているから、何か見つかるかもしれないよ」

「それに、捕虜も捕らえてあるしな。尋問すれば何か吐くかもしれない」

アイズとルリシヤがそう言って、俺達の失態をフォローしてくれた。

そう言いながら、本当はあまり期待していないことは、俺にも分かっている。

捕虜を捕まえたと言っても、捨て駒としてリーダーに置いていかれている連中なのだ。

本部に残されていた構成員をいくら拷問しても、俺達が望むような情報は何も持っていない可能性が高い。

やってみるだけやってみて、せめて少しでも情報を持っていないか、搾り上げても良い。

期待は薄いけどな。

「ルルシーとルレイアは、襲撃中、怪しい武器のようなものは見なかったの?」

シュノさんがそう尋ねた。

そうだな…。

「見ませんでしたね、目新しいものは何も…。ルルシーは?」

「俺もだ。『青薔薇連合会』でも使ってる、ありふれた武器ばかりだった」

ですよね。

何なら、俺の死神の鎌の方がよっぽど、珍しい武器だったと言えるだろう。

ルーチェスの両剣もな。

武器庫の中も覗いたけど、パッと見、怪しいものは何も見つけられなかった。

隠している可能性はあるが…。

「そっか…。そう簡単に尻尾を掴ませてはくれないってことだね」

「逃げた『M.T.S社』のリーダーは、何処に身を寄せてるんだろうな?」

「分からないね。秘密の隠れ場を用意しているのか…。それとも、友好組織に匿われているのか…」

逃げ道はしっかり確保していたんだから、逃亡先もきちんと用意されていることだろう。

今頃奴らはそこに辿り着いて、やれやれ逃げ切ったとばかりにホッと一息ついてるんだろう。

今度見つけたら、絶対に鎌の錆にしてやる。

「捜索は続けるよ。見つけられるかは怪しいけど」

「そうか」

「あとは…ルーチェスが目を覚ましてから、何か見たり聞いたりしてないか、確認してみないとね」

「…」

それは…もう少し先のことになりそうだな。