The previous night of the world revolution7~P.D.~

ルーチェスを連れて『青薔薇連合会』に戻ると、それはそれは、もう大わらわであった。

「ぷぎゃぁぁぁ!ルー公が!ルー公が死んでる!?」

「そんな、ルーチェスが、ルーチェスが…!嫌だよ、こんな…!」

「何処のどいつだ、ルー公をやったのは!アリューシャが仇を討ってやるわ!」

「ルーチェスしっかりして。目を覚まして。お願い…!」

アリューシャとシュノさんは、この反応。

一方、アイズとルリシヤは。

「脈は…正常だね。例の怪しい新兵器とやらを使われたのかな?」

「ふむ。見た目は全く無傷だな。服が焦げてるが…これは何の痕だ?」

非常に冷静に、ルーチェスを囲んで分析していた。

死んでないって分かってるからですよ。

もしルーチェスの息の根が止まってたら、アイズとルリシヤだって、こんなに冷静じゃなかっただろう。

ついでに、俺とルルシーももっと大騒ぎしてたはず。

「地獄で見てろよ、ルー公!アリューシャが仇を討ってやる!」

ライフルケースを掴み、鼻息荒く飛び出そうとするアリューシャの手首を、アイズが掴んで止めた。

地獄なんですか?ルーチェスの行く先。

「ちょっと落ち着いて、アリューシャ」

「落ち着いてられるかよ!?ルー公が…ルー公があの世送りにされたんだぞ!?」

「行ってない、行ってないから。ルーチェス生きてるからね」

「…ふぇ?」

「え…?」

アリューシャとシュノさんは、二人して一瞬ぽかんとして。

それから、眠っているルーチェスの顔をじーっと、改めて見つめていた。

規則的に胸が上下しているし、血色も良い。

本当に、ただ気持ち良く眠っているようにしか見えない。

「…これ生きてんの?」

これって言うのやめましょうよ。

「生きてますよ」

「…生きてんのかよ!心配かけやがって!」

アリューシャの早合点が良くなかったんだと思うけど。

仲間の命を、簡単に諦めたら駄目ですよ。

「よ、良かった…!ルーチェス、眠ってるだけなのね…?」

シュノさんは感激の涙。

「えぇ、眠ってるだけです」

「…良かった…」

ホッと胸を撫で下ろして、涙を拭っていた。

…ただ眠っているだけなら、死んでるより遥かにマシなんですが。

でも、話はそんなに簡単ではないんだよな。

「…しかし、ルーチェスは何で寝てるんだ?」

ルルシーが心配そうな顔で、俺達全員が思っている疑問を口にした。

それなんですよね。問題は。

眠っているのは良いんですけど、寝てる理由が分からない。

ルーチェスは俺に似て剛毅だし、大胆だし、肝が太いけれど。

まさか、戦場のど真ん中で眠りこけるほど危機感がないはずがない。