「…!?ルーチェス!?」
先に声を上げたのはルルシーだった。
悲鳴のような声だった。
「ルーチェス、しっかりしろ!大丈夫か!?」
敵の罠が仕掛けられているかもとか、そんなことは全く考えず。
ルルシーは青ざめた様子で、ルーチェスに駆け寄った。
俺はそんなルルシーの代わりに周囲を警戒しながら、同じくルーチェスに駆け寄った。
「起きろ、ルーチェス!しっかり…。…っ!!」
大きな声でルーチェスに呼びかけながら、床に倒れた彼を抱き起こし。
ルルシーはあるものに気づいて、身体を硬直させた。
俺も気がついた。
何に、って?
ルーチェスの左胸…心臓に当たる部分に。
服が焼け焦げて、まるで弾丸で貫かれたように、小指の先程の穴が開いていた。
…この痕は…。
「ルーチェス、お前っ…!」
ルルシーは涙声になって、ルーチェスを強く揺さぶった。
「お前は…こんなところで、簡単にくたばるような奴じゃないだろ…!」
うん。俺もそう思います。
だから。
「ルルシー、ちょっと落ち着いてください」
「お前はどうして落ち着いていられるんだよ?仲間が…ルーチェスが、こんな…。お前の弟子だろ…?」
本当にルーチェスが死…んでいるなら、俺だってこんなに冷静じゃいられませんよ。
今頃鬼神になってると思う。
でも、俺がそうなってないのは…。
「よく見てくださいよ、ルルシー。服は焼けてますけど…血は一滴も出てないでしょう?」
「…え?」
俺に指摘されて初めて、ルルシーは周囲をぐるりと見渡した。
色んな武器やら弾丸やらが、雨あられのように散乱しているけど。
しかし、血の痕は全く無い。硝煙の匂いはするけど、血の匂いもしない。
…ついでに言うと。
「ルルシー。ルーチェス、脈あります」
「えっ」
俺はルーチェスの手首を取って、そう言った。
生きてますよ、普通に。
「外傷は全く見当たりません。脈も全く乱れていません。…恐らく、ただ気を失っているだけです」
「な、何だと…?寝てるだけなのか?」
「そうみたいですね」
パッと見たところ、注射針の痕のようなものも見つけられない。
脈も正常だし、毒物を体内に入れられた…という訳でもなさそうだ。
何で気を失っているのかは知らないが。
今朝からルーチェス、様子がおかしかったから…もしかしたら、そのせいかも。
それとも、あれかな。
ルーチェスに「戻った」かな?
それならそれで良い。
「とにかく、連れて帰りましょう」
「あぁ。…俺が背負っていくよ」
ルルシーは率先して、気を失ったルーチェスをおんぶした。
…しかし、あれだな。
ルーチェスが『青薔薇連合会』に来たばかりの頃のルルシーは…蛇蝎のごとくルーチェスを嫌い、警戒心丸出しだったというのに。
今では、意識を失っただけで涙を滲ませ、率先して背負っていく係に立候補するんだから。
ルルシーって本当シャイですよね。
「行くぞ、ルレイア。急いでルーチェスを医者に見せないと」
「はいはい。行きましょう」
焦るルルシーについて、俺はひとまず『M.T.S社』本部を後にした。
先に声を上げたのはルルシーだった。
悲鳴のような声だった。
「ルーチェス、しっかりしろ!大丈夫か!?」
敵の罠が仕掛けられているかもとか、そんなことは全く考えず。
ルルシーは青ざめた様子で、ルーチェスに駆け寄った。
俺はそんなルルシーの代わりに周囲を警戒しながら、同じくルーチェスに駆け寄った。
「起きろ、ルーチェス!しっかり…。…っ!!」
大きな声でルーチェスに呼びかけながら、床に倒れた彼を抱き起こし。
ルルシーはあるものに気づいて、身体を硬直させた。
俺も気がついた。
何に、って?
ルーチェスの左胸…心臓に当たる部分に。
服が焼け焦げて、まるで弾丸で貫かれたように、小指の先程の穴が開いていた。
…この痕は…。
「ルーチェス、お前っ…!」
ルルシーは涙声になって、ルーチェスを強く揺さぶった。
「お前は…こんなところで、簡単にくたばるような奴じゃないだろ…!」
うん。俺もそう思います。
だから。
「ルルシー、ちょっと落ち着いてください」
「お前はどうして落ち着いていられるんだよ?仲間が…ルーチェスが、こんな…。お前の弟子だろ…?」
本当にルーチェスが死…んでいるなら、俺だってこんなに冷静じゃいられませんよ。
今頃鬼神になってると思う。
でも、俺がそうなってないのは…。
「よく見てくださいよ、ルルシー。服は焼けてますけど…血は一滴も出てないでしょう?」
「…え?」
俺に指摘されて初めて、ルルシーは周囲をぐるりと見渡した。
色んな武器やら弾丸やらが、雨あられのように散乱しているけど。
しかし、血の痕は全く無い。硝煙の匂いはするけど、血の匂いもしない。
…ついでに言うと。
「ルルシー。ルーチェス、脈あります」
「えっ」
俺はルーチェスの手首を取って、そう言った。
生きてますよ、普通に。
「外傷は全く見当たりません。脈も全く乱れていません。…恐らく、ただ気を失っているだけです」
「な、何だと…?寝てるだけなのか?」
「そうみたいですね」
パッと見たところ、注射針の痕のようなものも見つけられない。
脈も正常だし、毒物を体内に入れられた…という訳でもなさそうだ。
何で気を失っているのかは知らないが。
今朝からルーチェス、様子がおかしかったから…もしかしたら、そのせいかも。
それとも、あれかな。
ルーチェスに「戻った」かな?
それならそれで良い。
「とにかく、連れて帰りましょう」
「あぁ。…俺が背負っていくよ」
ルルシーは率先して、気を失ったルーチェスをおんぶした。
…しかし、あれだな。
ルーチェスが『青薔薇連合会』に来たばかりの頃のルルシーは…蛇蝎のごとくルーチェスを嫌い、警戒心丸出しだったというのに。
今では、意識を失っただけで涙を滲ませ、率先して背負っていく係に立候補するんだから。
ルルシーって本当シャイですよね。
「行くぞ、ルレイア。急いでルーチェスを医者に見せないと」
「はいはい。行きましょう」
焦るルルシーについて、俺はひとまず『M.T.S社』本部を後にした。


