The previous night of the world revolution7~P.D.~

「こいつ…この女、リーダーの顔をした偽者だったのか…」

ルルシーは、ようやく状況を理解して我に返ったようだ。

そうなんですよ。

「じゃあ、本物のリーダーは?お前の本当の上司は何処にいる?」

影武者の女に詰め寄るように、ルルシーが聞いた。

しかし影武者女は、怯えた顔で必死に首を横に振った。

…知らない、ってことか。

「まだ何か嘘を付いてるんじゃないだろうな?俺達に嘘を付くとどうなるか、知らない訳じゃ…」

「無駄ですよ、ルルシー」

脅しをかけようとするルルシーを、俺は首を振って止めた。

脅して、何か有益な情報が出てくるのなら…いくらでも脅すけど。

残念ながら、この女はただの操り人形だ。

俺達が知りたいような情報は何も知らない。

ただ、リーダーに背格好が似ているというだけで、影武者役に選ばれた小娘に過ぎない。

髪を短く切られ、ウィッグを被せられ、お粗末なマスクを貼り付け。

即席のリーダーとして、俺達の目の前に現れた。

このようなお粗末な変装は、今ここで俺が暴かなくとも、いずれバレていたはずだ。

それでもこんな影武者を寄越したってことは、別にこの女が影武者であるとバレても良かったんだろう。

一時的な目くらましのようなものだ。

では、何故そのようなことをするのか?

その答えは簡単だ。

…ただ、本物のリーダーが…この建物から逃げる時間を稼げれば、それで良かったのだろう。