The previous night of the world revolution7~P.D.~

話をしたい…とか言ってたな。

「話がしたいなら、せめてアポイントメントを取ってから来たらどうだ?」

『青薔薇連合会』と言い、お前達と言い。

最低限、人の家を訪ねるときの礼儀ってものがあるだろ。

まぁ、マフィアに礼儀を求めるのは無理な話かもしれないが。

…それに。

こいつらは、恐らくマフィアでは…。

「平時であればそうしたよ。でも、今は…アポイントメントを取って、決まりきった答えを聞いても意味がないから」

…何?

「今は平時だろ」

「違う。私の知るかつての帝国騎士団と比べたら…今の帝国騎士団は、危機的状況と言っても良いくらいだ」

へぇ?

確かに、オルタンスの錯乱具合は危機的状況だが。

しかし、それ以外は平穏だったつもりなんだがな。

「だから、こうして強引な手段を取らせてもらった…。申し訳ないけど」

一応、悪いことをしてしまったという自覚くらいはあるんだな。

『青薔薇連合会』とは大違いだ。

あいつらは何をしても、悪びれるということを知らないからな。

何度も言うようにあいつらはマフィアだから、仕方ないのかもしれないが。

「…で?」

と、俺は尋ねた。

「お前らは何者だ?遥々王宮までご苦労なことだ。そうまでして、何の話をしに来たんだ?」

「…」

レイピア女は答えず、俺達をじっと見つめた。

…何だ?

帝国騎士団隊長達の顔を順番に、じろじろと不躾に眺めたかと思うと。

最後に、レイピア女は帝国騎士団長であるオルタンスに視線を向けた。

そして、片手に膨らみかけのピンクの浮き輪を持ったオルタンスを見て、一言。

「…何がやりたかったの?」

そう言いたい気持ちは分かる。よく分かる。

「俺は、ルレイアと海に行きたい」

そしてオルタンス。お前は何を馬鹿正直に答えてんだ。

何処までも自分の欲望に素直である。

「…ルレイアっていうのは…」

「ルレイアを知らないのか?有名人だぞ」

確かに有名人だな。

その手の界隈では、知らない者はいないだろう。

俺に言わせれば、ルレイアの名前を知らずにいられる立場の人間は幸せだ。

奴ほど、関わり合いにならない方が良い人間もなかなかいない。

「…『青薔薇連合会』の、新しい幹部だね?」

…ん?

ルレイアは確かに『青薔薇連合会』の幹部だが。

しかし、新しい幹部ではないのでは?

いつぞや、『天の光教』のときに共闘した…あの仮面の男。

あいつの方が新しい幹部だろう。

そして最近では…元ベルガモット王室の「彼」が、幹部クラスの役職についたとか何とか…。

「ルレイアは幹部だが、そんなに新しくはないぞ。今ではすっかり、『青薔薇連合会』の幹部として箔が付いてる」

オルタンスは何故か、ちょっとドヤ顔でそう言った。

何でお前が自慢げなんだ?

「その幹部…ルレイアと、何をするって?」

「海に行きたい」

「…」

「そして、ルレイアの水着姿を拝みたい」

「…」

何処までも、自分の欲望に素直過ぎるオルタンスを前に。

仲間であるはずの俺達も、当然レイピア女達も、何も言えず無言だった。