なんかモブっぽい名前の組織だけど…。

そいつらが、謎兵器を取り扱っていた訳か…。

で、それを『霧塵会』に売りつけていたと…。

「聞いたことありますね。そいつらも…サナリ派の組織だったと記憶していますが」

「そうだね」

…ふむ。

これは非常に…宜しくない流れだ。

俺達の目の届かないところで、好ましくない大それた計画が動いているような…。

…そんな気がする。

ルリシヤの仮面の勘ならぬ、俺の死神の鎌の勘がそう言ってる。

死神の鎌の勘も、そこそこ優秀ですよ?

ルリシヤの仮面に負けてませんから。

「じゃあ、どうするの?今度は『M.T.S社』を潰しに行くの?」

と、尋ねるシュノさん。

行くなら私も、と言わんばかり。

「そうだね。兵器の実物も確認したいし…『霧塵会』が所持していた売買契約書についても、真偽のほどを確かめないといけない」

ですよねー。

アイズは顎に指先を当てて、しばし考えた。

「…よし、決めた」

おっと。

考え、まとまりました?

「ルレイア、ルルシー。それにルーチェス」

俺達三名をご指名のようだ。

「ちょっと明日『M.T.S社』に殴り込みに行って、兵器の秘密を探ってきてもらえる?」

ちょっとそこのスーパーで卵買ってきて、みたいなノリで。

裏切り組織への殴り込みを頼まれた。

僅か三名の幹部のみで。

これは素晴らしいことですよ。胸が高鳴りますね。

「分かりました!このルレイア・ティシェリー、ばっちり任務を果たしてきます」

「お願いね。帝国自警団から帰ってきたばかりなのに、こき使ってごめんね」

「いえいえ、お気になさらず」

身体もなまってたことですし。

やっぱり多少忙しく動いていた方が、俺の性に合っている。

それに、ルルシーが出撃するのに、俺だけが後ろで控えているなんて。

ルルシーじゃないけど、心配で休暇を満喫するどころじゃない。

だったら俺も一緒に行きたい。

それなのに。

「…ちょっと待てよ」

ルルシーが声を上げた。

お?

「どうかした?ルルシー。気が進まない?」

「いや…そういう訳じゃねぇよ。ルレイアは行くなって言っても行くんだろうし、だったら俺も一緒に行く」

いやん。それ口説き文句?

「それなら何が気になるの?」

「そんな…いきなりカチコミに行って良いのか?まだ真偽の程も分からないのに…」

「分からないから確かめに行くんじゃない」

「それはそうだけど…」

ルルシーのことだから、もう少し慎重に動かなくて大丈夫なのか、と思ってるんだろうな。

アイズって意外と、こういうときは即断決行ですよね。

短絡的なのか思慮深いのか。

マフィアの次期首領には、どちらも必要だということなのだろう。

「急いだ方が良いんだよ。今のところ私達が『霧塵会』を襲撃したことは、他組織には伏せられているけど…」

「…」

「もし襲撃があったことを感づかれたら、恐らく『M.T.S社』は危機を察知して、兵器の所在を隠してしまうだろう」

「…!それは…」

そうなるでしょうね。

兵器を売りつけた相手が潰されたと知ったら、自分達もヤバいかもしれないと感づくだろう。

そして、次の狙いは自分達だと悟り、謎兵器を隠してしまうだろう。

それじゃあ意味がない。