どんな面白い兵器が隠されているのかと思っていたのに。

「兵器の実物は?見つからなかってんですか?」

「うん。華弦が捜索班を作って、徹底的に洗ってくれたんだけど…。ルルシー達が見つけた資料以外に、目ぼしいものは何も見つけられなかった」

それは残念。

華弦が調べて「何もなかった」と言うのなら、本当に何もなかったんだろう。

おまけに、唯一情報を握っていたであろう捕虜は、全員自害…。

つまらない幕切れだ。

「そうか…駄目だったか…」

「上手いこと逃げられましたね」

ルルシーとルーチェスが言った。

本当。上手いこと逃げられましたね。

死に逃げとは、なかなか卑怯な真似をしてくれる。

…どうしようも出来ないことを、今更ぐちぐち言っても仕方ないか。

仲間達の誰かが悪い訳じゃないしな。

なら、せめて分かる範囲の情報を共有しよう。

「何が書いてあったんですか?その資料って…」

わざわざ冷蔵庫の中に隠しておきたかったんだから、その資料ってのは、俺達に見られたら困るモノだったんだろう?

「うん。どうやら『霧塵会』は、本当に怪しい兵器を所有してたらしいね」

…とのこと。

ほう…?

「え?でもアイズ…。さっき、資料以外に何も見つけられなかったって…」

シュノさんが疑問を呈した。

「うん、実物は見つけられなかったよ。だからその兵器の詳細は、まだ分からない」

「それなのに、どうして『霧塵会』が妙な兵器を持ってたって分かるの?」
 
「押収した資料の中に、その兵器の売買契約書が入っていたからだよ」

成程。

それは一目瞭然ですね。

「兵器が何なのかは分からないけど、その兵器を売り買いしていた証拠はある」

「つまり…謎兵器の噂は本当だったってことですか」

「残念ながら」

…わーお。

それは是非とも、この目で見てみたかったですね。

何なら戦ってみたかった。

俺の死神の鎌とどっちが強いかなぁ。

「それからもう一つ、分かったことがあるんだけど…」

「ほう、何ですか?」

「売買契約書に書いてあったよ。その兵器を『霧塵会』に売った組織の名前が」

へぇ?

つまり、その怪しい兵器を取り扱っている問屋の方ですか。

誰なんだろうな。まさか俺達もよく知る…『オプスキュリテ』ではないだろうが。

「『M.T.S社』。こちらも…『青薔薇連合会』の傘下組織の一つだよ」

…。

…また新しい名前が出てきたぞ。