「お、オルタンス殿…。御冗談を…」
「お前はルレイアと背格好も似ているし、女装…ならぬルレイア装をしたら、意外に似合うと思うんだが」
「全く嬉しくないですね…」
こんなに嬉しくない褒め言葉も、なかなかないだろうな。
「そうか…。なら、やはり等身大ルレイアの人形を、」
会議そっちのけで、下らない我儘に付き合わされていた…丁度そのとき。
会議室の扉がノックされた。
「あ?」
誰だ。一応会議中だぞ。
いや、会議とは言えない、下らない話しかしてなかったけども。
部屋の扉を開けて、困惑した表情の帝国騎士が入ってきた。
「会議中のところ、申し訳ありません…」
別に良いぞ。
どうせ、下らない話しかしてなかったからな。
まぁ、下らない会議というのは、むしろ平和の象徴である。
難しい顔を突き合わせて、頭が痛くなるような深刻な話し合いをしなくて済む。
それだけ平和だってことだ。
ちょっと前まで…『帝国の光』とやらの一件のときは、本当、毎回難しい顔してたからな。
いや、オルタンスは通常運転だったけど。
オルタンスが人並みに狼狽える姿を、一度で良いから見てみたいものである。
…でも、このオルタンスが人並みに狼狽えるようなことがあったら、それは恐らくルティス帝国存亡の危機だろうから。
やっぱり、オルタンスが狼狽える様なんて、見ない方が良い。
…さて、それはともかく。
「どうした?何があった」
「は、はい…それが、その…。先程この王宮に、侵入者が…」
…侵入者だと?
その言葉を聞くなり、オルタンスの顔が輝いた。
「ルレイアが遊びに来てくれたのか?」
…言うと思ったよ。
「あ、いや、その…」
「よし、丁度良い。海に誘おう」
そう言ってオルタンスは、懐に忍ばせていた、空気を入れる前のぺちゃんこの浮き輪を取り出した。
何でそんなものを持ち歩いてるんだ。
つーか、帝国騎士団団長を名乗るなら、浮き輪くらい無しで泳げよ。
「ちょっと待ってくれ。今膨らませるから。準備が出来たら海に行こう」
オルタンスは空気の入れ口に口をつけて、ふーふー空気を送り込んでいた。
エアーポンプを使え。口で入れる奴があるか。
もう、オルタンスのせいでツッコミどころが満載だが。
報告に来てくれた帝国騎士は、相変わらずの困惑顔だった。
そりゃそうなる。
…で、侵入者だったな?
悔しいが…恐らく、オルタンスが期待している人物だろう。
そうでなきゃ、警備を掻い潜って、この建物に乗り込むなんて不可能だ。
ルレイアでなかったとしても…ルレイアの「同僚」だろうな。
やれやれ、以前もこんなことがあったな。
奴らが血気に逸って乗り込んでくるなんて、絶対ろくなことじゃないに決まってる。
折角平和な日常が戻ってきたというのに、どうしてこう…平和が長続きしないのか。
…しかし。
「…あの…侵入者は、『青薔薇連合会』ではありません」
「…え?」
報告係にそう言われて、俺は思わず言葉を失った。
「お前はルレイアと背格好も似ているし、女装…ならぬルレイア装をしたら、意外に似合うと思うんだが」
「全く嬉しくないですね…」
こんなに嬉しくない褒め言葉も、なかなかないだろうな。
「そうか…。なら、やはり等身大ルレイアの人形を、」
会議そっちのけで、下らない我儘に付き合わされていた…丁度そのとき。
会議室の扉がノックされた。
「あ?」
誰だ。一応会議中だぞ。
いや、会議とは言えない、下らない話しかしてなかったけども。
部屋の扉を開けて、困惑した表情の帝国騎士が入ってきた。
「会議中のところ、申し訳ありません…」
別に良いぞ。
どうせ、下らない話しかしてなかったからな。
まぁ、下らない会議というのは、むしろ平和の象徴である。
難しい顔を突き合わせて、頭が痛くなるような深刻な話し合いをしなくて済む。
それだけ平和だってことだ。
ちょっと前まで…『帝国の光』とやらの一件のときは、本当、毎回難しい顔してたからな。
いや、オルタンスは通常運転だったけど。
オルタンスが人並みに狼狽える姿を、一度で良いから見てみたいものである。
…でも、このオルタンスが人並みに狼狽えるようなことがあったら、それは恐らくルティス帝国存亡の危機だろうから。
やっぱり、オルタンスが狼狽える様なんて、見ない方が良い。
…さて、それはともかく。
「どうした?何があった」
「は、はい…それが、その…。先程この王宮に、侵入者が…」
…侵入者だと?
その言葉を聞くなり、オルタンスの顔が輝いた。
「ルレイアが遊びに来てくれたのか?」
…言うと思ったよ。
「あ、いや、その…」
「よし、丁度良い。海に誘おう」
そう言ってオルタンスは、懐に忍ばせていた、空気を入れる前のぺちゃんこの浮き輪を取り出した。
何でそんなものを持ち歩いてるんだ。
つーか、帝国騎士団団長を名乗るなら、浮き輪くらい無しで泳げよ。
「ちょっと待ってくれ。今膨らませるから。準備が出来たら海に行こう」
オルタンスは空気の入れ口に口をつけて、ふーふー空気を送り込んでいた。
エアーポンプを使え。口で入れる奴があるか。
もう、オルタンスのせいでツッコミどころが満載だが。
報告に来てくれた帝国騎士は、相変わらずの困惑顔だった。
そりゃそうなる。
…で、侵入者だったな?
悔しいが…恐らく、オルタンスが期待している人物だろう。
そうでなきゃ、警備を掻い潜って、この建物に乗り込むなんて不可能だ。
ルレイアでなかったとしても…ルレイアの「同僚」だろうな。
やれやれ、以前もこんなことがあったな。
奴らが血気に逸って乗り込んでくるなんて、絶対ろくなことじゃないに決まってる。
折角平和な日常が戻ってきたというのに、どうしてこう…平和が長続きしないのか。
…しかし。
「…あの…侵入者は、『青薔薇連合会』ではありません」
「…え?」
報告係にそう言われて、俺は思わず言葉を失った。


