「そう…。やっぱり分かってもらえなかったんだね」

「…あの団長なら、と思ったけど…期待外れだったようだ」

ブロテ団長がこれからも、考えを改めることなく『青薔薇連合会』を肯定し続けるようなら。

俺達は、帝国自警団を退団することも考えなくては。

ここにいては、俺達の目的を果たせない。

「でも、無理もないかもね。あの男に直接会って話したのなら」

と、「彼女」は俺と同じことを言った。

「きっと良いように丸め込まれたんだろう。良くも悪くもあの団長、人が良いから…」

「…だろうな。あの男に騙されたんだろう」

事実を知れば。

あの男がとんでもない詐欺師であることを知れば。

もう少し、考えを改めてくれるかもしれない。

「…どうする?帝国自警団を見限る?」

「…そうだな…」

これからもブロテ団長が考えを改めないなら、退団も視野に入れなくてはな。

自警団の仲間と仲良しこよしするつもりはない。

俺達には、他の団員達が掲げるような「正義」などない。

俺達がここにいる理由は、ただ一つだ。

その為なら、どんなことでもする…。

「…もう少しだけ、様子を見よう。あいつが今度、何か動きを見せるまで」

ブロテ団長には失望したが、まだ見限るには早い。

何と言っても、帝国自警団の持つ権威は捨て難かった。

まだ利用価値があるものを、不用意に捨てて後悔したくはない。

「分かった。…大丈夫。ここにいればきっと、いつかあいつに手が届くよ」

「…あぁ、きっとそうだ」

そう信じよう。

俺達はこれまでずっと、手を伸ばし続けてきた。ルレイア・ティシェリーに。

この手がいつか、いつかあの男の肩に届く。

そのときは、盛大に奴の首を絞めて殺してやる。

そのときが来るまで、俺達は決して諦めるつもりはなかった。

「…俺達を裏切ったお前を…絶対に許さない」

全ては、あの男に俺達を裏切った酬いを受けさせる為。

復讐を果たす為に、俺達はここにいるのだから。