「マリアーネ…」
「…ごめん、ブロテちゃん。私が無力だったせいで…」
泣きそうな顔で、マリアーネは私に頭を下げた。
まさか。
「やめて、マリアーネ。あなたが謝る必要はない」
「こうなる前に、自警団は何かをすべきだった…。でも私は手をこまねいて…。そのせいで多くの団員が、自警団に失望して出ていってしまったの」
「だから、それはあなたのせいじゃないでしょ。マリアーネ」
「でも…私はブロテちゃんに団長代理を頼まれたのに…」
違う。そういう意味で、私はマリアーネに団長代理を託した訳じゃない。
責任を背負うべきは、団長である私だ。
「…マリアーネに責任があるって言うなら、僕達もそうだ」
セルニアが言った。
「僕達だって、ただ状況を静観していただけだった。帝国騎士団が『青薔薇連合会』と癒着して、どんどん腐敗していく様を見ていたのに…」
「…そうね。これは自警団の皆の責任だわ。マリアーネだけじゃない」
「ブロテに託された自警団を、守るどころか衰退させてしまった。帝国騎士団はもう、自警団の存在そのものも覚えていない」
私は、それ以上聞いていることが出来なかった。
「…やめて、皆のせいじゃない」
ここにいる誰も悪くはない。皆に責任はない。
…自警団がこんな状況だったことも知らず、呑気に海外留学していた私の責任だ。
「よく話してくれたね。ありがとう…。今自警団がどういう状況なのか、分かったよ」
これから私がどうするべきか、自警団をどうしていくべきなのかも分かった。
「ブロテちゃん…」
「大丈夫よ。これから挽回していくから。私が戻ってきたからには、もう好き勝手させない」
『青薔薇連合会』なんてマフィアに、これ以上好き勝手させない。
自警団が毅然とした態度を取れば、団員達の信頼も取り戻せるはずだ。
「あ、そ…そう、でもねブロテちゃん。今日は珍しく…新しい団員が増えたんだよ」
何とか明るい話題を提供しようと、マリアーネが努めて笑顔で言った。
へぇ、それは良いことだ。
ほら、あながち自警団も、まだ捨てたものじゃないってことだ。
自警団に希望を持って、入団してくれる人がいるとは。
じゃ、その人達の期待を裏切らないようにしないとね。
「それに、一人じゃないんだ。二人も増えたんだよ。その人達と会ってたから、歓迎会に遅れちゃって…」
と、マリアーネが教えてくれた。
成程、そうだったんだ。
「それなら大丈夫。私がルティス帝国に戻ってきたからには、『青薔薇連合会』の暴挙も、帝国騎士団の腐敗も許さない。私に任せて」
必ず、このルティス帝国を正しく導いてみせる。
帝国自警団の団長、ブロテ・ルリシアスの名にかけて。
「…ごめん、ブロテちゃん。私が無力だったせいで…」
泣きそうな顔で、マリアーネは私に頭を下げた。
まさか。
「やめて、マリアーネ。あなたが謝る必要はない」
「こうなる前に、自警団は何かをすべきだった…。でも私は手をこまねいて…。そのせいで多くの団員が、自警団に失望して出ていってしまったの」
「だから、それはあなたのせいじゃないでしょ。マリアーネ」
「でも…私はブロテちゃんに団長代理を頼まれたのに…」
違う。そういう意味で、私はマリアーネに団長代理を託した訳じゃない。
責任を背負うべきは、団長である私だ。
「…マリアーネに責任があるって言うなら、僕達もそうだ」
セルニアが言った。
「僕達だって、ただ状況を静観していただけだった。帝国騎士団が『青薔薇連合会』と癒着して、どんどん腐敗していく様を見ていたのに…」
「…そうね。これは自警団の皆の責任だわ。マリアーネだけじゃない」
「ブロテに託された自警団を、守るどころか衰退させてしまった。帝国騎士団はもう、自警団の存在そのものも覚えていない」
私は、それ以上聞いていることが出来なかった。
「…やめて、皆のせいじゃない」
ここにいる誰も悪くはない。皆に責任はない。
…自警団がこんな状況だったことも知らず、呑気に海外留学していた私の責任だ。
「よく話してくれたね。ありがとう…。今自警団がどういう状況なのか、分かったよ」
これから私がどうするべきか、自警団をどうしていくべきなのかも分かった。
「ブロテちゃん…」
「大丈夫よ。これから挽回していくから。私が戻ってきたからには、もう好き勝手させない」
『青薔薇連合会』なんてマフィアに、これ以上好き勝手させない。
自警団が毅然とした態度を取れば、団員達の信頼も取り戻せるはずだ。
「あ、そ…そう、でもねブロテちゃん。今日は珍しく…新しい団員が増えたんだよ」
何とか明るい話題を提供しようと、マリアーネが努めて笑顔で言った。
へぇ、それは良いことだ。
ほら、あながち自警団も、まだ捨てたものじゃないってことだ。
自警団に希望を持って、入団してくれる人がいるとは。
じゃ、その人達の期待を裏切らないようにしないとね。
「それに、一人じゃないんだ。二人も増えたんだよ。その人達と会ってたから、歓迎会に遅れちゃって…」
と、マリアーネが教えてくれた。
成程、そうだったんだ。
「それなら大丈夫。私がルティス帝国に戻ってきたからには、『青薔薇連合会』の暴挙も、帝国騎士団の腐敗も許さない。私に任せて」
必ず、このルティス帝国を正しく導いてみせる。
帝国自警団の団長、ブロテ・ルリシアスの名にかけて。


