The previous night of the world revolution7~P.D.~

『青薔薇連合会』は、帝国騎士団のみならず。

大海を挟んだ向こう側、シェルドニア王国の王室にまで、その影響力を及ぼしている。

信じられない話だ。

たかが非合法組織が、どうしてそこまで…。

「それに…箱庭帝国の王様も、『青薔薇連合会』が一方的に顎で使う関係だって言われてるんだよ」

シャニーがそう言った。

箱庭帝国まで…。

「シャニー、箱庭帝国は王制じゃないよ、確か…。何て言うんだっけ…大統領だか委員長だか」

と、アンブロ。

あぁ、そうだっけ…。

箱庭帝国のことなんて、私、ほとんど知らないけど…。

革命が起きて、独裁体制が崩壊したんだっけ?

で、その革命にも…『青薔薇連合会』や帝国騎士団が関係している、と…。

「革命のときに、『青薔薇連合会』が散々帝国騎士団に資金や武器…その他の物資を提供させて、それを我が物顔で箱庭帝国に売りつけてたらしいね」

「そのせいで、今でも箱庭帝国は『青薔薇連合会』に逆らえないって」

「復興した箱庭帝国からも、強制的にお金を巻き上げてるそうだよ」

「そんな…」

長年の独裁体制が終わり、ようやく国民の手に自由が戻ってきて。

乏しい国力の中、少しずつ復興を進めている箱庭帝国からも、みかじめ料を巻き上げているとは。

これがマフィアのやり口か。

なんて卑劣な…。

「それどころか…ベルガモット王家の皇太子を、人質として『青薔薇連合会』で監禁してるって話もある」

「…!」

皇太子を人質に…。

『青薔薇連合会』は他国のみならず、このルティス帝国の王家の権力も掌握していると。

なんという卑劣なことを…。

「帝国騎士団は、そんな『青薔薇連合会』を放置しているの?」

『青薔薇連合会』がそれほどに、国内を荒らしているなら。

帝国騎士団は黙っていてはいけない。すぐにでも『青薔薇連合会』を取り締まり、卑劣なマフィアを叩かなければ。

それが、この国の中枢を担う帝国騎士団の役目だろう。

…それなのに…。

「無理だよ。帝国騎士団だって、『青薔薇連合会』に資金提供してる立場なんだから」

「どうしてそんなことするの?帝国騎士団に何のメリットがあるの?」

「さぁね…。脅されているんだろうとは思うけど…」

そんな馬鹿な話があるか。

帝国騎士団ともあろう組織が、マフィアごときに脅されて、唯々諾々と言うことを聞くなんて。

「それに、『青薔薇連合会』は帝国騎士団と深く癒着してるんだ。お互いがお互いを利用し合っている関係なんだろう」

セルニアがそう言った。

だとしても、許されることじゃない。

誇り高い帝国騎士団が、まさか『青薔薇連合会』などという非合法組織の力を借り。

そして帝国騎士団も、『青薔薇連合会』に力を貸すなんて…。

マフィアと癒着する政府。

考えただけで、吐き気がするほど最悪だ。

「…そんな状況になるのを、帝国自警団は止められなかった」

ポツリと、マリアーネが呟いた。