The previous night of the world revolution7~P.D.~

よく来てくれたね、だと?

自分から呼び出しておいて、よくもいけしゃあしゃあと…。

「…ルレイアは何処だ?」

挨拶もせず、俺は単刀直入にそう尋ねた。

馴れ合うつもりは全くない。

あるものか。

この女は、俺からルレイアを奪ったのだ。

出合い頭に拳銃で頭を撃ち抜かっただけ、感謝して欲しいくらいだ。

「彼はここにはいないよ。帝国自警団本部にいる」

「牢屋の中にか?」

「まさか。彼は犯罪者でも捕虜でもない。部屋から出られない不自由以外は、自由に過ごしてもらってるよ」

部屋から出られない、外部に連絡を取ることすら出来ないのに。

何が、自由に過ごしている、だ。

お前の頭の中の辞書の「自由」は、俺とは違う意味なんだろうな。

あまりに腹立たしくて、やはり殺してやりたくなった。

俺がそうしないのは、ここで俺が短気を起こすことによって、ルレイアに悪影響が及ぶかもしれないからだ。

そうじゃなければ、今頃とっくに、この女の心臓は止まっている。

「いつになったら、ルレイアを返すつもりだ?そもそもお前は、何故ルレイアを連れ去った?何がしたかったんだ」

ここぞとばかりに、俺は聞きたかったことをブロテに畳み掛けた。

するとブロテは、俺の質問に答える代わりにこう言った。

「…彼のことが心配なんだね」

「…はぁ?」

何を…決まりきったことを。

質問をはぐらかされ、腸が煮え繰り返る思いだった。

「質問には答えられないと?」

「いいや…。ただそう思っただけだよ。心からルレイア卿のことを思ってるんだって」

「…」

…我慢しているつもりだったが、やはり拳銃で脅すべきか?

早速我慢出来なくなってきた。

すると、ブロテは。

「大丈夫だよ。『保護』の期間は最大で一ヶ月。一ヶ月が終わったら、彼を解放するよ」

「…」

…成程。だから安心しろって?

出来るはずがないだろ。

「保護が終わったら、次は何だ?理由をつけてルレイアを拘束し続けるつもりだろう?」

「まさか。次なんてないよ。一ヶ月が終わったら解放する。それは約束するよ」

信じられるか。

実際にルレイアを解放するまでは、ブロテがどんな口約束をしようと信用出来ない。

「ルレイアはどうしてる?…元気なんだろうな?」

「勿論だよ。怪我一つしてない」

「…」

信用しない。

こうしている間にも、ルレイアが虐待を受けているかと思うと…。

…すると。

「ルレイア卿のことばかりだね、君は」

「…あ…?」

「何で自分を呼び出したのか、とか聞かないの?」

…そういや、まだ聞いてなかったな。

まずは一番の心配事を解決しないことには、暴力衝動が抑えられなくてな。

「成程ね。ルレイア卿に『話が通じる』のは、相棒であるルルシー卿だけ…。彼らの言っていたことは本当だったんだ」

ブロテは独り言のように、そう呟いた。

…彼ら…?誰のことだ?

こいつは何を言っている?

俺に理解の出来ないことをツラツラ並べて、煙に巻かれているようでムカついた。