…だろうな。
俺でさえ思いつくことを、アイズが分からないはずがない。
…しかし。
「でも、そうなる可能性は限りなく低いよ。ルレイアが何か犯罪行為を行ったという証拠は、何も掴めていないはずだから」
「…」
「今回の『保護』も、帝国自警団としてはかなり無理矢理敢行してるはずだよ。これ以上理屈をつけて拘束を続けるのは、無理があるんじゃないかな」
…とのこと。
アイズなりに、状況を分析しているらしい。
呑気にアリューシャの口を拭いている余裕があるのは、それが理由か。
だけど俺にとっては、そんな希望的観測で落ち着くことは出来ない。
だって、限りなく低いってだけで、可能性はゼロじゃないんだろう?
例え0.1%でも可能性があるなら、安心は出来ない。
今、拘束されているルレイアが…どんな目に遭っているのかも分からないのに。
すると、俺の心配を見透かしたかのように、ルーチェスが言った。
「大丈夫ですよ、ルルシーさん。逮捕された訳じゃないんですから、丁重に扱われているはずですよ」
「…そんなの分からないだろう?」
鉄格子の嵌められた狭い監獄に押し込められ、常に複数人の監視に見張られている状況かもしれない。
それどころか、虐待を受けている可能性だってあるのだ。
よってたかって監視人に囲まれ、暴行を受けているルレイアの姿を想像して。
俺は、思わず叫び出したい衝動に駆られた。
駄目だ。想像しただけで気が狂う。
「相変わらずルルシー先輩は、ルレイア先輩に関することになると正気を失うな」
『ホワイト・ドリーム号』の一件のときを思い出したのか、ルリシヤがそう言った。
…あの頃も、俺は相当荒れていたな。
あのときとは違って、今度はルティス帝国国内のことだから、その点では多少なりとも安心だが…。
訳の分からん組織にルレイアが連れ去られてしまった、という点では、あのときと同じだ。
帝国自警団なんて、俺にとっては訳の分からん組織以外の何物でもない。
「心配要らないさ、ルレイア先輩」
「…何がだよ?」
「もし『保護』の期間が一ヶ月を超えて延長されるようなら、また白馬の王子になって、ルレイア先輩を迎えに行こう」
…懐かしいな。
そんなこともしたっけ…。
「そのときは、またウィッグをつけて、メイド服を着ることを忘れるな。それと、胸パッドも忘れずにな」
「…そんなことまで思い出させるなよ…」
記憶の彼方に消していたつもりなんだが?
すると、耳聡いルーチェスが目を光らせた。
「メイド服…胸パッド…!?それは是非とも、詳しいお話を聞かせて頂きたいですね」
…この下衆め。
「勿論だ、ルーチェス後輩。あのときの写真と動画もある。一緒に振り返るとしよう」
「ありがとうございます!」
…はぁ。
こいつらを見ていると…思い悩んでいる自分がアホらしく感じてくる。
…俺だって分かってるよ。
俺があまりに気に病んでいるものだから、こいつらなりに気を遣って、こんな明るい態度を取ってくれてるんだってことくらい。
その気遣いが分かるから、俺はルリシヤ達のことを本気で怒れなかった。
…本当弱いな、俺は。
だけどルレイア。俺はお前が心配なんだ。
誰に何と言われて宥められようとも。
自分の相棒が連れ去られて、今どうしているのかも分からなくて…。
そんな状況で、正気を保っていられるはずがないだろう?
俺でさえ思いつくことを、アイズが分からないはずがない。
…しかし。
「でも、そうなる可能性は限りなく低いよ。ルレイアが何か犯罪行為を行ったという証拠は、何も掴めていないはずだから」
「…」
「今回の『保護』も、帝国自警団としてはかなり無理矢理敢行してるはずだよ。これ以上理屈をつけて拘束を続けるのは、無理があるんじゃないかな」
…とのこと。
アイズなりに、状況を分析しているらしい。
呑気にアリューシャの口を拭いている余裕があるのは、それが理由か。
だけど俺にとっては、そんな希望的観測で落ち着くことは出来ない。
だって、限りなく低いってだけで、可能性はゼロじゃないんだろう?
例え0.1%でも可能性があるなら、安心は出来ない。
今、拘束されているルレイアが…どんな目に遭っているのかも分からないのに。
すると、俺の心配を見透かしたかのように、ルーチェスが言った。
「大丈夫ですよ、ルルシーさん。逮捕された訳じゃないんですから、丁重に扱われているはずですよ」
「…そんなの分からないだろう?」
鉄格子の嵌められた狭い監獄に押し込められ、常に複数人の監視に見張られている状況かもしれない。
それどころか、虐待を受けている可能性だってあるのだ。
よってたかって監視人に囲まれ、暴行を受けているルレイアの姿を想像して。
俺は、思わず叫び出したい衝動に駆られた。
駄目だ。想像しただけで気が狂う。
「相変わらずルルシー先輩は、ルレイア先輩に関することになると正気を失うな」
『ホワイト・ドリーム号』の一件のときを思い出したのか、ルリシヤがそう言った。
…あの頃も、俺は相当荒れていたな。
あのときとは違って、今度はルティス帝国国内のことだから、その点では多少なりとも安心だが…。
訳の分からん組織にルレイアが連れ去られてしまった、という点では、あのときと同じだ。
帝国自警団なんて、俺にとっては訳の分からん組織以外の何物でもない。
「心配要らないさ、ルレイア先輩」
「…何がだよ?」
「もし『保護』の期間が一ヶ月を超えて延長されるようなら、また白馬の王子になって、ルレイア先輩を迎えに行こう」
…懐かしいな。
そんなこともしたっけ…。
「そのときは、またウィッグをつけて、メイド服を着ることを忘れるな。それと、胸パッドも忘れずにな」
「…そんなことまで思い出させるなよ…」
記憶の彼方に消していたつもりなんだが?
すると、耳聡いルーチェスが目を光らせた。
「メイド服…胸パッド…!?それは是非とも、詳しいお話を聞かせて頂きたいですね」
…この下衆め。
「勿論だ、ルーチェス後輩。あのときの写真と動画もある。一緒に振り返るとしよう」
「ありがとうございます!」
…はぁ。
こいつらを見ていると…思い悩んでいる自分がアホらしく感じてくる。
…俺だって分かってるよ。
俺があまりに気に病んでいるものだから、こいつらなりに気を遣って、こんな明るい態度を取ってくれてるんだってことくらい。
その気遣いが分かるから、俺はルリシヤ達のことを本気で怒れなかった。
…本当弱いな、俺は。
だけどルレイア。俺はお前が心配なんだ。
誰に何と言われて宥められようとも。
自分の相棒が連れ去られて、今どうしているのかも分からなくて…。
そんな状況で、正気を保っていられるはずがないだろう?


