「…では、むしろ…誰の言葉なら、彼に届くでしょうか?」

私はルアリス卿にそう尋ねた。

私の言葉も、ルシェ卿の言葉も、ルアリス卿の言葉も届かない。

なら、誰の言葉なら彼に届く?

その人物に説得を頼むしかない。

『誰の…。それは…同じ『青薔薇連合会』の仲間じゃないでしょうか?』

「…」

…『青薔薇連合会』の仲間だって?

それじゃ無意味だ。『青薔薇連合会』の仲間が、ルレイア卿を売るはずがない。

『それから…何と言っても、やはりルルシー殿でしょう』

続けて、ルアリス卿はそう言った。

ルルシー…。ルルシー・エンタルーシアか。

ルシェ卿も、その名前を口にしていた…。

『ルルシー殿の言うことだったら、ルレイア殿は素直に…。…いや、素直かは分かりませんけど…聞く耳を持つはずですよ』

「…そうですか…」

『ルレイア殿は、ルルシー殿が大好きですから』

「…」

…またしても、ルアリス卿は誇らしげな口調で言う。

まるで、友達のことでも話してるみたいだ。

友達だなんて…。従わされているだけなのに。

『…?ブロテ殿?』

「…いえ、分かりました。貴重なお時間をいただき、ありがとうございました」

『気にしないでください。お話出来て良かったです』

相変わらず、ルアリス卿は丁寧にそう言った。

…このような立派な人の国を、脅して、言いなりにするなんて。

やはりルレイア卿のやっていることは、間違っている。やめさせなければ。

これ以上の悪事を許してはいけない。

その為には…。

「…こうなったら…」

一ヶ月の期限は、刻一刻と減り続けている。

最早、形振り構ってはいられなかった。