The previous night of the world revolution7~P.D.~

考えても仕方ない。考えても仕方ないけれど…。

…思わずにはいられない。あの事件が起きなければ、と。

あの事件さえ起きなければ、今頃ルレイアはまだ、ルシファーのままで。

そして、帝国騎士団で…私の弟でいてくれたかもしれないと。

「暗殺犯の冤罪を着せられた彼は、帝国騎士団から追放、ウィスタリア家からも断絶された」

「…」

…知っている。

「その後『青薔薇連合会』に正式に加入するまでに、2年ほどの空白があるが…。噂では、『青薔薇連合会』系列の療養施設にいたのではないか、とされている」

「…」

それも間違ってはいないだろう。

本人の口からは、とても聞けないが…。 

思わずにはいられない。

その時期に手を差し伸べたのが、私であったなら。

深く傷つき、失意のうちに沈んでいるあの子を助けたのが、私だったら。

今頃あの子は…帝国騎士団に入っていなくても、少なくとも私のもとにいてくれたはずだ。

闇に堕ちることもなく…ルレイア・ティシェリーの名前をつけることもなく。

ルティス帝国の死神、などと呼ばれることもなかっただろう。

そう思うと、あまりに口惜しくて…自分が情けなくて堪らない気持ちになる。

今更…どうすることも出来ないが。

「結局、当時から『青薔薇連合会』の幹部だったルルシー・エンタルーシアに誘われ、彼は『青薔薇連合会』に加入。その後幹部に昇進して…そのまま、今に至る」

「…」

「…そうですよね?」

…改めて聞いてみると、壮絶な経歴だな。

まるで悪夢のような話だが、これは紛れもなく現実なのだ。

私の弟の身に起きた、あまりに理不尽な現実。

「…あぁ、そうだ」

私の知る限りでは、帝国自警団の得た情報に間違いはない。

いっそ全てが間違いであったなら、どれほど良かっただろう。