考えても仕方ない。考えても仕方ないけれど…。
…思わずにはいられない。あの事件が起きなければ、と。
あの事件さえ起きなければ、今頃ルレイアはまだ、ルシファーのままで。
そして、帝国騎士団で…私の弟でいてくれたかもしれないと。
「暗殺犯の冤罪を着せられた彼は、帝国騎士団から追放、ウィスタリア家からも断絶された」
「…」
…知っている。
「その後『青薔薇連合会』に正式に加入するまでに、2年ほどの空白があるが…。噂では、『青薔薇連合会』系列の療養施設にいたのではないか、とされている」
「…」
それも間違ってはいないだろう。
本人の口からは、とても聞けないが…。
思わずにはいられない。
その時期に手を差し伸べたのが、私であったなら。
深く傷つき、失意のうちに沈んでいるあの子を助けたのが、私だったら。
今頃あの子は…帝国騎士団に入っていなくても、少なくとも私のもとにいてくれたはずだ。
闇に堕ちることもなく…ルレイア・ティシェリーの名前をつけることもなく。
ルティス帝国の死神、などと呼ばれることもなかっただろう。
そう思うと、あまりに口惜しくて…自分が情けなくて堪らない気持ちになる。
今更…どうすることも出来ないが。
「結局、当時から『青薔薇連合会』の幹部だったルルシー・エンタルーシアに誘われ、彼は『青薔薇連合会』に加入。その後幹部に昇進して…そのまま、今に至る」
「…」
「…そうですよね?」
…改めて聞いてみると、壮絶な経歴だな。
まるで悪夢のような話だが、これは紛れもなく現実なのだ。
私の弟の身に起きた、あまりに理不尽な現実。
「…あぁ、そうだ」
私の知る限りでは、帝国自警団の得た情報に間違いはない。
いっそ全てが間違いであったなら、どれほど良かっただろう。
…思わずにはいられない。あの事件が起きなければ、と。
あの事件さえ起きなければ、今頃ルレイアはまだ、ルシファーのままで。
そして、帝国騎士団で…私の弟でいてくれたかもしれないと。
「暗殺犯の冤罪を着せられた彼は、帝国騎士団から追放、ウィスタリア家からも断絶された」
「…」
…知っている。
「その後『青薔薇連合会』に正式に加入するまでに、2年ほどの空白があるが…。噂では、『青薔薇連合会』系列の療養施設にいたのではないか、とされている」
「…」
それも間違ってはいないだろう。
本人の口からは、とても聞けないが…。
思わずにはいられない。
その時期に手を差し伸べたのが、私であったなら。
深く傷つき、失意のうちに沈んでいるあの子を助けたのが、私だったら。
今頃あの子は…帝国騎士団に入っていなくても、少なくとも私のもとにいてくれたはずだ。
闇に堕ちることもなく…ルレイア・ティシェリーの名前をつけることもなく。
ルティス帝国の死神、などと呼ばれることもなかっただろう。
そう思うと、あまりに口惜しくて…自分が情けなくて堪らない気持ちになる。
今更…どうすることも出来ないが。
「結局、当時から『青薔薇連合会』の幹部だったルルシー・エンタルーシアに誘われ、彼は『青薔薇連合会』に加入。その後幹部に昇進して…そのまま、今に至る」
「…」
「…そうですよね?」
…改めて聞いてみると、壮絶な経歴だな。
まるで悪夢のような話だが、これは紛れもなく現実なのだ。
私の弟の身に起きた、あまりに理不尽な現実。
「…あぁ、そうだ」
私の知る限りでは、帝国自警団の得た情報に間違いはない。
いっそ全てが間違いであったなら、どれほど良かっただろう。


