それに何より、今のあの子は帝国騎士団四番隊隊長ではない。
『青薔薇連合会』幹部、ルレイア・ティシェリーなのだ。
帝国騎士団副団長である私が、『青薔薇連合会』幹部について語る訳にはいかない。
例え、実の弟であるとしても。
『青薔薇連合会』を敵に回すような行為はしたくないという、政治的な配慮もある。
正直なところ、私達帝国騎士団にとっては、帝国自警団より『青薔薇連合会』の方が遥かに厄介な相手だ。
…しかし。
「いいえ、彼の過去について知りたい訳じゃありません。…それは、もう調べましたから」
「…何?それなら、何の為に…」
「ルレイア・ティシェリー、本名ルシファー・ルド・ウィスタリア。幼い頃から帝国騎士になる為の英才教育を受け、優秀な成績で帝国騎士官学校に入学した才子」
「…」
帝国自警団が独自に調べたのであろう。
ルレイアの過去の情報を羅列され、私は口を噤んでしまった。
…そうだ。間違っていない。
それが…かつてのルレイア…ルシファーの姿だった。
「帝国騎士官学校を主席で卒業後、異例の速さで帝国騎士団四番隊隊長に抜擢。…自慢の弟君だったでしょうね」
「…」
…それは嫌味か。
そうだ。自慢の弟だった。
…そう思っていた。あの頃はまだ。
私は「何も知らなかった」のだから。
しかし思えば、あの頃からあの子は…心の中に闇を抱えていたのかもしれない。
私が気づかなかっただけで…。
「急転直下が起きたのは、彼が帝国騎士団四番隊隊長に就任してから一年足らず…。ローゼリア元女王の暗殺未遂事件が起きた」
「…」
ぎゅっと、強く胸が締め付けられた。
『青薔薇連合会』幹部、ルレイア・ティシェリーなのだ。
帝国騎士団副団長である私が、『青薔薇連合会』幹部について語る訳にはいかない。
例え、実の弟であるとしても。
『青薔薇連合会』を敵に回すような行為はしたくないという、政治的な配慮もある。
正直なところ、私達帝国騎士団にとっては、帝国自警団より『青薔薇連合会』の方が遥かに厄介な相手だ。
…しかし。
「いいえ、彼の過去について知りたい訳じゃありません。…それは、もう調べましたから」
「…何?それなら、何の為に…」
「ルレイア・ティシェリー、本名ルシファー・ルド・ウィスタリア。幼い頃から帝国騎士になる為の英才教育を受け、優秀な成績で帝国騎士官学校に入学した才子」
「…」
帝国自警団が独自に調べたのであろう。
ルレイアの過去の情報を羅列され、私は口を噤んでしまった。
…そうだ。間違っていない。
それが…かつてのルレイア…ルシファーの姿だった。
「帝国騎士官学校を主席で卒業後、異例の速さで帝国騎士団四番隊隊長に抜擢。…自慢の弟君だったでしょうね」
「…」
…それは嫌味か。
そうだ。自慢の弟だった。
…そう思っていた。あの頃はまだ。
私は「何も知らなかった」のだから。
しかし思えば、あの頃からあの子は…心の中に闇を抱えていたのかもしれない。
私が気づかなかっただけで…。
「急転直下が起きたのは、彼が帝国騎士団四番隊隊長に就任してから一年足らず…。ローゼリア元女王の暗殺未遂事件が起きた」
「…」
ぎゅっと、強く胸が締め付けられた。


