The previous night of the world revolution7~P.D.~

―――――――…帝国自警団のブロテ・ルリシアスから、秘密裏に連絡を受け。

私はこの日、帝都にある某ホテルにやって来ていた。

言うまでもないことだが。

これは個人的な接見であり、帝国騎士団副団長として来た訳ではない。

今日の私は、ただのルシェとしてここに来た。

本当なら、ブロテの誘いを受ける必要はなかった。

例え個人的な接見であっても、私は帝国騎士団の副団長であり、ブロテは帝国自警団の団長だ。

そして、これら二つの組織は、互いに不干渉の原則がある。

帝国騎士団は帝国自警団のやることに文句をつける権利はないし、それは逆も然り。

自警団が何をしようと、私達が関わる権利はない。

だから、ブロテと個人的な繋がりを持つつもりもなかった。

それなのに、何故私が今日、ブロテの誘いを受けてここにやって来たのか。

それには…理由がある。

非常に私的な理由だ。

帝国騎士団副団長として、このような理由で帝国自警団の団長に会うべきではない。

…それは分かっている。

だから、最初に声をかけられたときは断るつもりだった。

でも、断らなかった。

帝国自警団が、とある一人の人物を名前をあげたからだ。

その一人の名前を聞いて、私はここに来ることを決めたのだった。

「ルシファー・ルド・ウィスタリア卿について、話し合いたいことがある」と。

そう言われて、私は無視を決め込むことは出来なかった。

その名前を出せば、私は断れないと分かっていたのだろうか?

ルレイア・ティシェリーではなく…ルシファーの名前を出したことに、自警団の作意を感じる。

何かの罠なのではないか、とも思った。

だけど結局、私は断ることが出来なかった。

相変わらず、私は。

私は…その名前を聞く度に、胸が締め付けられるような思いになる。

かつて、私が最も愛し。

しかし、救ってやることが出来なかった…。

…私の、弟の名前だ。





「…ルシェ・ウィスタリア卿」

「…来たか」

一人物思いに沈んでいた私のもとに。

私をここに呼び出した張本人、帝国自警団団長ブロテ・ルリシアスがやって来た。