The previous night of the world revolution7~P.D.~

帰国した当初は、ルレイア卿の悪事ばかりを聞かされ。

彼のことを酷く憎んでいた。なんて酷いことをする人だろうと。

でも今では、彼に対する憎しみなんて欠片もなかった。

彼の過去に関する報告書を読んでからというもの、彼を憎むのはやめた。

…彼の身に起きたことを考えれば、『青薔薇連合会』に身をやつすのも無理はない。

彼が自ら闇に染まったのではない。

闇に染まらなければ、ルレイア卿は生きられなかったのだ。

それは仕方ない。

起きてしまったことを、なかったことには出来ない。

だけど、彼にはやり直すという選択肢がある。

『青薔薇連合会』から足を洗い、光の世界に戻ってくるという選択肢が。

そちらを選んで欲しい。今からでも遅くないから。

彼の本当の名前…ルシファー・ルド・ウィスタリアだった頃に、戻って欲しい。

きっとそれが、正しい道だと思うから。

「これからどうする?ブロテ」

セルニアが私に尋ねた。

「断られちゃったんだよね…?説得出来るかな…」

「保護出来る期間は、最長で一ヶ月…。説得するには短い時間ね」

マリアーネとユナが言った。

再考の余地もないほど、きっぱり断られちゃったからね。

今頃一人になって、少しは私の言ったことを考えてくれているだろうと思うけど…。

今のままじゃ、これ以上私が何を言おうと、受け入れてくれそうにないね。

「諦めるか?」

「…まさか。諦めないよ」

一度の説得が失敗したからって、それで諦めるにはまだ早い。

期限は一ヶ月しかない…けど、逆に言えば一ヶ月の期間は保証されているのだ。

一ヶ月の間に、彼を説得する為に何でもしよう。

これ以上、ルレイア卿に罪を重ねさせない。

真っ当な道に。光の世界に戻ってきてもらうのだ。

その為には…。

…やはり、覚悟を決めた方が良さそうだ。

「…一つ、手を考えてあるんだ」

私は、仲間達にそう切り出した。

「手?」

「うん…。やらずに説得出来たら、それが一番良かったんだけど…そうも言ってられないからね」

形振り構っている暇はない。

出来ることがあるなら、何でもやる。やってみせる。

「何をするんだ?」

「ユナ、連絡を取ってもらえる?」

「連絡…。良いけど、誰に?」

…誰に、かは決まっている。

「帝国騎士団副団長、ルシェ・エリザベート・ウィスタリア卿に」

ルレイア・ティシェリー。本名はルシファー・ルド・ウィスタリア。

ルシェ卿は、彼の実の姉である。