帰国した当初は、ルレイア卿の悪事ばかりを聞かされ。
彼のことを酷く憎んでいた。なんて酷いことをする人だろうと。
でも今では、彼に対する憎しみなんて欠片もなかった。
彼の過去に関する報告書を読んでからというもの、彼を憎むのはやめた。
…彼の身に起きたことを考えれば、『青薔薇連合会』に身をやつすのも無理はない。
彼が自ら闇に染まったのではない。
闇に染まらなければ、ルレイア卿は生きられなかったのだ。
それは仕方ない。
起きてしまったことを、なかったことには出来ない。
だけど、彼にはやり直すという選択肢がある。
『青薔薇連合会』から足を洗い、光の世界に戻ってくるという選択肢が。
そちらを選んで欲しい。今からでも遅くないから。
彼の本当の名前…ルシファー・ルド・ウィスタリアだった頃に、戻って欲しい。
きっとそれが、正しい道だと思うから。
「これからどうする?ブロテ」
セルニアが私に尋ねた。
「断られちゃったんだよね…?説得出来るかな…」
「保護出来る期間は、最長で一ヶ月…。説得するには短い時間ね」
マリアーネとユナが言った。
再考の余地もないほど、きっぱり断られちゃったからね。
今頃一人になって、少しは私の言ったことを考えてくれているだろうと思うけど…。
今のままじゃ、これ以上私が何を言おうと、受け入れてくれそうにないね。
「諦めるか?」
「…まさか。諦めないよ」
一度の説得が失敗したからって、それで諦めるにはまだ早い。
期限は一ヶ月しかない…けど、逆に言えば一ヶ月の期間は保証されているのだ。
一ヶ月の間に、彼を説得する為に何でもしよう。
これ以上、ルレイア卿に罪を重ねさせない。
真っ当な道に。光の世界に戻ってきてもらうのだ。
その為には…。
…やはり、覚悟を決めた方が良さそうだ。
「…一つ、手を考えてあるんだ」
私は、仲間達にそう切り出した。
「手?」
「うん…。やらずに説得出来たら、それが一番良かったんだけど…そうも言ってられないからね」
形振り構っている暇はない。
出来ることがあるなら、何でもやる。やってみせる。
「何をするんだ?」
「ユナ、連絡を取ってもらえる?」
「連絡…。良いけど、誰に?」
…誰に、かは決まっている。
「帝国騎士団副団長、ルシェ・エリザベート・ウィスタリア卿に」
ルレイア・ティシェリー。本名はルシファー・ルド・ウィスタリア。
ルシェ卿は、彼の実の姉である。
彼のことを酷く憎んでいた。なんて酷いことをする人だろうと。
でも今では、彼に対する憎しみなんて欠片もなかった。
彼の過去に関する報告書を読んでからというもの、彼を憎むのはやめた。
…彼の身に起きたことを考えれば、『青薔薇連合会』に身をやつすのも無理はない。
彼が自ら闇に染まったのではない。
闇に染まらなければ、ルレイア卿は生きられなかったのだ。
それは仕方ない。
起きてしまったことを、なかったことには出来ない。
だけど、彼にはやり直すという選択肢がある。
『青薔薇連合会』から足を洗い、光の世界に戻ってくるという選択肢が。
そちらを選んで欲しい。今からでも遅くないから。
彼の本当の名前…ルシファー・ルド・ウィスタリアだった頃に、戻って欲しい。
きっとそれが、正しい道だと思うから。
「これからどうする?ブロテ」
セルニアが私に尋ねた。
「断られちゃったんだよね…?説得出来るかな…」
「保護出来る期間は、最長で一ヶ月…。説得するには短い時間ね」
マリアーネとユナが言った。
再考の余地もないほど、きっぱり断られちゃったからね。
今頃一人になって、少しは私の言ったことを考えてくれているだろうと思うけど…。
今のままじゃ、これ以上私が何を言おうと、受け入れてくれそうにないね。
「諦めるか?」
「…まさか。諦めないよ」
一度の説得が失敗したからって、それで諦めるにはまだ早い。
期限は一ヶ月しかない…けど、逆に言えば一ヶ月の期間は保証されているのだ。
一ヶ月の間に、彼を説得する為に何でもしよう。
これ以上、ルレイア卿に罪を重ねさせない。
真っ当な道に。光の世界に戻ってきてもらうのだ。
その為には…。
…やはり、覚悟を決めた方が良さそうだ。
「…一つ、手を考えてあるんだ」
私は、仲間達にそう切り出した。
「手?」
「うん…。やらずに説得出来たら、それが一番良かったんだけど…そうも言ってられないからね」
形振り構っている暇はない。
出来ることがあるなら、何でもやる。やってみせる。
「何をするんだ?」
「ユナ、連絡を取ってもらえる?」
「連絡…。良いけど、誰に?」
…誰に、かは決まっている。
「帝国騎士団副団長、ルシェ・エリザベート・ウィスタリア卿に」
ルレイア・ティシェリー。本名はルシファー・ルド・ウィスタリア。
ルシェ卿は、彼の実の姉である。


