The previous night of the world revolution7~P.D.~

「責めてなんかいないよ。長い間国を空けてた私に、そんな資格はない…」

私がいない間、マリアーネは私の代わりに「組織」をまとめようと、頑張ってくれていた。

聞くまでもなく、それは分かっている。

だから、私がマリアーネを責め立てるなんて、絶対に有り得ない。

そうじゃなくて…。

「一体何があったの…?」

私はただ、真実を知りたいだけだ。

私がいない間、この国で…この「組織」で…。

私が団長を務めていた、この「ルティス帝国自警団」で、一体何があったのか。

「何があった…か、一言で言うのは難しいけど…」

ユナは口ごもるように言った。

私も留学中、絶えずルティス帝国の情勢は調べていたつもりだ。

…と言っても、ネットニュースを追い掛ける程度だったけど…。

だから、そう詳しく知っている訳ではない。

「少し前に、国中が不景気で大変だったことは知ってるよ。もしかして、そのせい?」

あのときは、ルティス帝国経済と深い関係にあるアシスファルト帝国も、少なからぬ被害を受けた。

もしかして、あの不景気が原因?

「いや…それもあるけど、直接的な原因はそのことじゃない」

アンブロが答えた。

そうか…じゃあ…。

「『天の光教』だっけ…。あれのせい?」

丁度、ルティス帝国が不景気の波に襲われているとき。

ルティス帝国国内で、『天の光教』なるインチキ宗教集団が幅を利かせていたと聞いている。

ルティス帝国が怪しげな宗教に染まっちゃうんじゃないかと、心配になったのを覚えている。

「でも、あれ…教組は捕まったんだよね?」

「そうだね。『天の光教』…全く関係なくはないけど、でも彼らのせいでもないよ」

『天の光教』のせいでもない?

なら…。

「…何があったの?」

この際だから、はっきり言って欲しい。

団長として…私には知る義務がある。

帝国自警団で何が起きているのか。

そして、このルティス帝国で何が起きているのかを。

「何があったのか…。原因は一つじゃない。この10年間で、色々な出来事が起きたから」

「でも…敢えて、原因を一つ挙げるとしたら…」

「そうだね…。結局のところ…いつも裏では、彼らが手を引いていたんだもの…」

…彼ら?

「マリアーネ…。彼らっていうのは誰?帝国騎士団のこと?」

「ううん、ブロテちゃん…。帝国騎士団じゃない」

この国に影響を及ぼせる組織と言ったら、帝国騎士団以外にないと思っていたんだけど。

帝国騎士団じゃない?それなら…。

「誰なの?マリアーネ。一体誰が、この国を…」

「…」

マリアーネは生唾を呑み込み、そして重い口を開いた。

まるで、呪いの言葉でも囁くかのように。





「…『青薔薇連合会』」



…それが、この国に巣食う「裏の権力者」の名前だった。