「責めてなんかいないよ。長い間国を空けてた私に、そんな資格はない…」
私がいない間、マリアーネは私の代わりに「組織」をまとめようと、頑張ってくれていた。
聞くまでもなく、それは分かっている。
だから、私がマリアーネを責め立てるなんて、絶対に有り得ない。
そうじゃなくて…。
「一体何があったの…?」
私はただ、真実を知りたいだけだ。
私がいない間、この国で…この「組織」で…。
私が団長を務めていた、この「ルティス帝国自警団」で、一体何があったのか。
「何があった…か、一言で言うのは難しいけど…」
ユナは口ごもるように言った。
私も留学中、絶えずルティス帝国の情勢は調べていたつもりだ。
…と言っても、ネットニュースを追い掛ける程度だったけど…。
だから、そう詳しく知っている訳ではない。
「少し前に、国中が不景気で大変だったことは知ってるよ。もしかして、そのせい?」
あのときは、ルティス帝国経済と深い関係にあるアシスファルト帝国も、少なからぬ被害を受けた。
もしかして、あの不景気が原因?
「いや…それもあるけど、直接的な原因はそのことじゃない」
アンブロが答えた。
そうか…じゃあ…。
「『天の光教』だっけ…。あれのせい?」
丁度、ルティス帝国が不景気の波に襲われているとき。
ルティス帝国国内で、『天の光教』なるインチキ宗教集団が幅を利かせていたと聞いている。
ルティス帝国が怪しげな宗教に染まっちゃうんじゃないかと、心配になったのを覚えている。
「でも、あれ…教組は捕まったんだよね?」
「そうだね。『天の光教』…全く関係なくはないけど、でも彼らのせいでもないよ」
『天の光教』のせいでもない?
なら…。
「…何があったの?」
この際だから、はっきり言って欲しい。
団長として…私には知る義務がある。
帝国自警団で何が起きているのか。
そして、このルティス帝国で何が起きているのかを。
「何があったのか…。原因は一つじゃない。この10年間で、色々な出来事が起きたから」
「でも…敢えて、原因を一つ挙げるとしたら…」
「そうだね…。結局のところ…いつも裏では、彼らが手を引いていたんだもの…」
…彼ら?
「マリアーネ…。彼らっていうのは誰?帝国騎士団のこと?」
「ううん、ブロテちゃん…。帝国騎士団じゃない」
この国に影響を及ぼせる組織と言ったら、帝国騎士団以外にないと思っていたんだけど。
帝国騎士団じゃない?それなら…。
「誰なの?マリアーネ。一体誰が、この国を…」
「…」
マリアーネは生唾を呑み込み、そして重い口を開いた。
まるで、呪いの言葉でも囁くかのように。
「…『青薔薇連合会』」
…それが、この国に巣食う「裏の権力者」の名前だった。
私がいない間、マリアーネは私の代わりに「組織」をまとめようと、頑張ってくれていた。
聞くまでもなく、それは分かっている。
だから、私がマリアーネを責め立てるなんて、絶対に有り得ない。
そうじゃなくて…。
「一体何があったの…?」
私はただ、真実を知りたいだけだ。
私がいない間、この国で…この「組織」で…。
私が団長を務めていた、この「ルティス帝国自警団」で、一体何があったのか。
「何があった…か、一言で言うのは難しいけど…」
ユナは口ごもるように言った。
私も留学中、絶えずルティス帝国の情勢は調べていたつもりだ。
…と言っても、ネットニュースを追い掛ける程度だったけど…。
だから、そう詳しく知っている訳ではない。
「少し前に、国中が不景気で大変だったことは知ってるよ。もしかして、そのせい?」
あのときは、ルティス帝国経済と深い関係にあるアシスファルト帝国も、少なからぬ被害を受けた。
もしかして、あの不景気が原因?
「いや…それもあるけど、直接的な原因はそのことじゃない」
アンブロが答えた。
そうか…じゃあ…。
「『天の光教』だっけ…。あれのせい?」
丁度、ルティス帝国が不景気の波に襲われているとき。
ルティス帝国国内で、『天の光教』なるインチキ宗教集団が幅を利かせていたと聞いている。
ルティス帝国が怪しげな宗教に染まっちゃうんじゃないかと、心配になったのを覚えている。
「でも、あれ…教組は捕まったんだよね?」
「そうだね。『天の光教』…全く関係なくはないけど、でも彼らのせいでもないよ」
『天の光教』のせいでもない?
なら…。
「…何があったの?」
この際だから、はっきり言って欲しい。
団長として…私には知る義務がある。
帝国自警団で何が起きているのか。
そして、このルティス帝国で何が起きているのかを。
「何があったのか…。原因は一つじゃない。この10年間で、色々な出来事が起きたから」
「でも…敢えて、原因を一つ挙げるとしたら…」
「そうだね…。結局のところ…いつも裏では、彼らが手を引いていたんだもの…」
…彼ら?
「マリアーネ…。彼らっていうのは誰?帝国騎士団のこと?」
「ううん、ブロテちゃん…。帝国騎士団じゃない」
この国に影響を及ぼせる組織と言ったら、帝国騎士団以外にないと思っていたんだけど。
帝国騎士団じゃない?それなら…。
「誰なの?マリアーネ。一体誰が、この国を…」
「…」
マリアーネは生唾を呑み込み、そして重い口を開いた。
まるで、呪いの言葉でも囁くかのように。
「…『青薔薇連合会』」
…それが、この国に巣食う「裏の権力者」の名前だった。


