やって来たのは、勿論お待ちかねの女だった。

ブロテ・ルリシアス。

帝国自警団の団長であり、大胆にも俺をこの部屋に閉じ込めた張本人である。

いやはや、剛毅なことだ。

「来たばかりで悪いけど、一緒に来てくれないかな」

ほう?

「何処に?」

「テラスに。君と話がしたいんだ。ここで話すのも味気ないと思って」

成程。団長自らご接待とは。

大盤振る舞いで、光栄じゃないですか。

良いだろう。俺は今紳士ですから。

淑女のお誘いには、喜んで応じますよ。

「分かりました。構いませんよ」

俺はブロテについていって、帝国自警団本部のテラスに向かった。

日当たりの良いその場所に、ガーデンパラソルとテーブル、椅子が置いてあった。

ここにもティーポットとお茶菓子、そして二人分のティーセットが用意されていた。

「どうぞ、座って」

「…」

ブロテの勧めるままに、俺はそこに着席した。

随分と準備が良いようで。

もてなしの用意は万全、という訳か。

もてなしよりも、気になるのは。

わざわざこんなところに連れてきて、ブロテがオレに何を話したいのか、という点だな。

これについては、心穏やかではいられなかった。