The previous night of the world revolution7~P.D.~

「…どうしたの?マリアーネ…」

「あ、いや…うん…」

「…?」

何で目を逸らす?

まるで、聞かれたくなかったことを聞かれたかのように…。

「マリアーネ?」

「…ブロテちゃん、ごめんね」

「え?」

唐突に、マリアーネは私に謝った。

何故謝る?

「実は…その、最近…。『組織』を脱退する人が急増して…」

と、彼女は申し訳無さそうに教えてくれた。

…脱退…?

「今『組織』のメンバーは…ブロテちゃんがいた頃の、3分の2くらいしか…」

「えぇ…!そんなに…?」

「…ごめん」

あ、いやマリアーネを責めた訳じゃなくて。

あまりに驚いて、つい責めるような口調になってしまった。

…ともかく。

こんな重大なニュースを知らされて、ぐびぐびお酒を飲んでいる訳にはいかない。

さっきまでほろ酔い気分だったのに、すっかり酔いが覚めたようだ。

「そんなにメンバーが減っちゃったの…?」

10年前、私が「組織」にいた頃はもっと…。

「うん…。旧いメンバーは減ってないよ。ユナちゃんやシャニーちゃん、アンブロ君やセルニア君も…」

だよね。それは知ってる。

空港まで、私を迎えに来てくれたから。

当たり前のように彼らと再会したから、全然気が付かなかった。

「組織」のメンバーが、私の知る頃よりずっと少なくなっている、なんて。

…そういえば。

「この歓迎会にも…。参加してない人が結構いるね。ただ忙しくて来られないだけかと思ったけど…」

「…そういう人は、もう『組織』から出て行っちゃったの」

…まさか、そんな。

私が「組織」にいた頃も、脱退希望者はゼロではなかったけれど…。

そんな、目に見えて脱退希望者が続出する、なんてことはなかった。

それなのに、どうして…。

この10年で、一体何があったの?

「本当に…ごめんね、ブロテちゃん。私の力が及ばないばかりに…」

マリアーネは泣きそうな顔で、深々と頭を下げた。

ちょっと、何それ。

「やめてよ、マリアーネ。あなたが謝る必要なんて…」

「…マリアーネ団長代理を、責めないでやって欲しい」

…マリアーネが、この話をするのを待っていたかのように。

振り向くと、私を空港まで迎えに来てくれたメンバーが…。

ユナやシャニーや、アンブロやセルニアが立っていた。

さっきまで笑顔だったのに、今はマリアーネと同様…顔を曇らせていた。

…皆…。

ようやく私は、彼女達が久々に帰ってきた私の為に、わざと明るく振る舞っていてくれたのだ、と気がついた。

仲間に気を遣わせるなんて、私という奴は…。

浮かれていた自分が、恥ずかしくなってきた。

…ともあれ、起きた事実に変わりはない。