―――――…一行は、すぐに会議室に移動した。

アイズは華弦にも声をかけ、彼女にもついてきてもらった。

「シュノ、泣かないで。泣かないで頂戴」

「ひっく…ひっく…」

涙の止まらないシュノは、アシュトーリアさんに慰められていた。

一方、俺は…。

…俺は、何も言葉を発する気にならなかった。

…目の前でルレイアが連れて行かれてしまった。帝国自警団に。

警戒はしていたつもりだった。帝国自警団がルレイアに目をつけていることは知っていた。

それなのに…今日この日に至るまで、俺は何も出来なかった。

みすみす、ルレイアを一人で行かせてしまった…。

しかも…俺の目の前で。

心が傷まないはずがあろうか?

心が引き裂かれそうな思いだった。

どうしているだろう、ルレイアは。手荒な扱いを受けていなければ良いが。

「大丈夫だよ、シュノ。ルレイアは『保護』されたんでしょう?」

「ひっく…。…うん、そう言ってた…」

…言ってたな。

あの忌々しい…ブロテという女が。

こんなことになるなら、いっそ…あの女を撃ち殺せば良かった。

後でどんなことになろうと…ルレイアを連れて行かせるよりは、何だってマシだ。

「なら大丈夫だよ。ルレイアは帝国自警団に『保護』されただけであって、囚人でも受刑者でもない。身体拘束も受けないはずだよ」

「…うん…ルレイアもそう言ってた…。でも…本当なの…?」

「ブロテが『保護』だって宣言して連れて行ったなら、信用して良い。皮肉だけど…帝国自警団は、そこらのマフィアとの口約束よりは、遥かに信用出来るよ」

…本当に皮肉だな。

一応帝国自警団は、政府公認の組織だからな。

嘘はつかないし、つけない立場だ。

そういう意味では、安心出来るのかもしれないが…。

無理矢理連れて行かれたのに、安心なんか出来るはずないだろ。

俺に言わせれば、逮捕も保護も大して変わらない。

だって、ルレイアはいなくなったんだから。

それ以上に重要なことがあるか?