「…まぁ分かってるなら良いけど…」

と、ルルシー。

もうしばらくしたら流行が過ぎ去る。その覚悟は出来ているけど。

それでも、店が潰れて欲しい訳じゃない。出来ることなら、このまま順調に軌道に乗って欲しい。

そうなってくれれば良いんですが、今の段階ではまだ何とも言えませんね。

客は蝿ですからね。蝿の考えていることは、人間様には分からない。

いずれにしても、それは流行が収束し始めてから考えれば良い。

少なくとも今は流行の真っ只中で、稼ぎ時なのだから。

稼げるときに、しこたま稼いでおけば良い。

「月ごとに期間限定メニューを提供しようと思いまして、色々アイデアを考えてるところなんですけどね」

「期間限定メニュー?」

「はい!記念すべき一回目は、ブラック・ワッフルを提供するつもりなんです。美味しそうでしょう?」

「…ワッフルは美味しそうだと思うけど…。…それは、原材料は何を使ってるんだ?」

よくぞ聞いてくれました、ルルシー。

「華弦によると、確かシェルドニアクロアリゲーターの脳みそのペーストを生地に混ぜて…」

「おぇぇぇぇ」

うふふ、良い反応。

でも、味は美味しいんですよ。シェルドニア王国の食材って、本当に面白いですよね。



…などと。

ルルシーと楽しくお喋りをしていた、そのときだった。

「ルルシーさん、ルレイアさん!大変です」

ルルシーの部下、準幹部のルヴィアさんが、ルルシーの執務室に飛び込んできた。

俺達に厄介事をもたらす知らせっていうのは、いつもこんな感じですね。